少年タケシ

ゴロツキはいつも食卓を襲う

大気連載「ゴロツキはいつも食卓を襲う」が、更なる加筆・書き下ろしを加えて
4月17日に単行本 として発売決定!
それを記念して著者の福田里香さんにインタビュー!

連載が誕生した経緯、“フード理論”誕生秘話、そして今後の展開とは!?

 

「ゴ ロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50」
発行/太田出版 福田里香/著 オノ・ ナツメ/イラスト

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――連載を終えてその後すぐに単行本の作業に入られて、加筆 に書き下ろしに大変だったと思います。あらためておつかれさまでした!
この連載が単行本になるということで今のご感想は?

「私は“お菓子研究家”として名乗り出して今までに30冊くらい本を出していますが、こういう風にエッセイだけという本は初めてなんですよね。その前に『まんがキッチン』(アスペクト刊)という本を出していて、これはお菓子のレシピとエッセイが半々くらいの分量ではあるんで すが、今回はレシピなしで文章のみという試みで、かなり緊張したし、文章の組み立てに試行錯誤しました。でも書いてみたら 意外に長くなってしまい、書籍に収めるにあたって最終的に19万字くらいになって しまいました(笑)。こんなに書きたいことが貯まっていたのかと、自分でもびっくりです

――オノ・ナツメさんの挿絵も毎回見事でしたよね。

「連載をするにあたって1920年代のアメリカの雑誌『The New Yorker』などの1コマ風刺漫画、イラストの下に気の利いたひとことが書いてある、みたいなものをイメージしていたんです。でもそれをレトロな感じでなぞるのではなくて、女子の目線で自分の絵柄 で今風に描ける人ということでオノさんしかいないなと」

――オノ・ナツメさんの描く“食べ物”が登場しているシーン はどれも物語を感じさせて本当に素晴らしかったですね。オノ・ナツメさんに挿絵をお願いされた経緯は?

「これは私のわがままなんですが、挿絵はまんが家の方に描いて頂きたかったんです。それも食べ物が好きな人、私が“フードまんが家”だなって思える人に描いて頂きたくて。オノさんにはもちろん“食 べ物”が多く出てくる『リストランテ・パラディーゾ』(太田出版刊)という作品がありますが、それ以外の作品にも同じように食べ物がとて も重要な役で登場しています。すごくご本人が食べ物に興味があって、食べ物の本質が描ける人だなと以前から思っていました。『ゴロツ キ〜』は女子寄りの内容ではないと思っているので、ニュートラルな魅力があり、男性女性の両方が読んで違和感のない魅力的な絵が描ける 人、白黒で素敵な絵が描ける人、ということでぜひオノさんにお願いしたいなと。挿絵を担当してくださるとオッケーを頂いた 時には本当に天にも昇る気持ちでした」

――そして連載中には各回のテーマで「まんがやアニメ、映 画、テレビドラマ、CM、絵本などで、「○○○という作品に登場します」という目 撃情報を募集しています」というお便りを募集していました。読者の方々から届いたお便りをお読みになっていかがですか?

「やっ ぱりみなさんチェックしている作品がそれぞれ違うから、思ってもみなかったご意見があったり、私も読んだことはあるんだけれど忘れてし まったものを教えてくれて、ありがたいですね。例えば去年大ブレークしたアニメ『Tiger&Bunny』 について教えて下さった「しまめじさん」からのお便りの「“正 体不明者の差し出す液体には、要注意 必ず毒か、眠り薬が入っているから”の一番最近のアイコンといえば『Tiger&Bunny』でしょ う。確か22話だったかでバーナビーがマーベリックに差し出される紅茶、23話で虎徹がマーベリックに差し出される紅茶、そのどちらにも眠り薬が入ってました。23話では、虎徹がその紅茶をなかなか飲まないという演出のオマケ付きです。わかりやすい ですね」と いうご指摘には「ああ、確かに!」って思いました。とても良いシーンでしたよね。本当にステレオタイプフードの見本のようなシーンで」

――「ゴロツキ〜」で福田さんが提示された、新たな“フード 理論”という視点。その視点でもう一回作品を振り返ってもらって、気付いたシーンについてお便りを頂けるというのは本当にうれしいですよ ね。

「ここを覚えていたんだ、というのがみなさん本当にそれぞれ だから。すごい新鮮でしたね。例えば「Kio_berlin」さんからの「“事件 についうっかり目を奪われると、食べこぼす”は、坂田靖子先生の『バジル氏の優雅な生活』ハリーの災難編で、一番好きなシーンです。執事 さんがハリーさんに、「だんな様、まことにさしでがましいのですが……」「さきほどからズボンにミルクを注いでいらっしゃいます」…… と」というお便り。坂田先生のまんがは『まんがキッチン』でも取り上げさせていただいたのですが、確かにけっこう「ブッ」て吹きこぼしていたりとか、とっても食べ物描写の感じが良いんですよね。私 も大好きな作家さんで、常に良い感じでステレオタイプフードを演出に取り入れていらっしゃると思います。それによって物語が分か りやすくなっていますよね」

――ここで改めて、この連載が始まった経緯、 “フード理論”の立ち上がりの経緯を教えて頂けますか?

「もともと自分の中で考えてきていたことなんですけれど、特 に女子社会でこういう理論みたいなことをしゃべってもウザいだけじゃないですか(笑)。まずお菓子を前にして蘊蓄をしゃべり出すような人 は「空気を読めていない」ということなんですよね。例えば「お茶を飲もうよ」「お菓子食べたいね」と言われた時はそれは休戦状態で何も考 えたくなくて、「私は寛ぎたいのよ」という信号なんです。そういう時に「このお菓子が現わすのはエロスの象徴で……」とか「お菓子ってい うのはダークな面も現わしていて……」とか言われても誘った相手は困っちゃいます。でも日常会話ってそういうたわいのないもので構成されていて、それはそれで大切。だけど、そうするとこういうことを考えてい ても発表する場がない、だから自分一人で考えて楽しんでいたことなんです。そんな時にライムスター宇多丸さんのラジオ番組『ウィークエン ドシャッフル』(TBSラジオ)に、アニメ映画『サマーウォーズ』(2008年に角川映画にて公開)を観た感想メールを送ったんです。そのメールに“フード理 論”的なことを書いて細田守監督のアニメを分析したら、番組スタッフの方達に気に入って頂けて、ラジオに呼ばれて黒澤映画『七人の侍』を“フード理論”的見地でをしゃべ ることになったんです。それが意外と反響があって、この連載に繋がりました」

――福田さんの中で温めて来られた“フード理論”が連載となり、書籍にもなるなんて本当に感慨深いです。
今回の書籍化にあたって連載時と異なる部分はありますか?

「もちろんエッセイも連載時より大幅に加筆し、11編書き下ろししています。挿絵も新たに12枚 描き下ろししてもらいました」

――中でも特に気に入っている回はありますか?

「これが選べないんですよねー。だってどれも傑作じゃないですか挿絵が! だから挿絵を小さく掲載できないので、本当に贅沢なことなんですが書籍化にあたって、必ず1ページで1枚オノさんのイラストを掲載させてもらっています」 

――今後の“フード理論”はどのような展開を予定されていますか?

「とりあえず個別の作品について書いていきたいなと思ってい ます。作品のタイトルがちゃんと出るかたちでのエッセイ本でしょうか。この本は「ステレオタイプフード表現」ということで、具体的な作品名がほ とんど出てないんです。どこに登場したかは覚えていないのに、判で押したように印象に残っているフード表現があるのは、「それはどうしてなのか?」というのを読み解いているので。今度は具体 的な作品を例にとって分析しているような本を書ければいいなと思っています」

――今後の“フード理論”の展開も期待しています。ありがと うございました!

まるで海外のペーパーバックみたいな装丁もオシャレな『ゴ ロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』は4月12日に発売です!

 

<ゴ ロツキNEWS!>

「タケシ書房」でも単行本発売記念インタビューと書籍の内容を大紹介中!そちらもぜひご一読を!

*単行本発売記念イベント開催!イラストとインスタレーショ ン展示等を予定。詳細は会場HPをご確認ください。

会期:2012年4月17日(火)〜25日(水)場所:ユトレヒト UTRECHT/NOW IDeA

東京都港区南青山5-3-8 パレスミユキ2F

http://www.utrecht.jp

 
★なんと展示会ではスペシャルなオリジナルペーパーが二種類もらえるそうです!
福田里香さんのサイン本も販売中!!

 

<単行本発売に伴いコラムの掲載数を制限させて頂いております>





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itabashi
福田里香(ふくだ・りか)

お菓子研究家。
まんがのイメージをお菓子にしたレシピ&フード評論本「まんがキッチン」(アスペクト)の出版をきっかけに、まんが関連の仕事が増える。著書に「カクテルアラモード」(白夜書房)、「お菓子と果物の手帖」(ヴィレッジブックス)など。新刊に「フレーバーウォーター」(文化出版局)がある。

ブログは「まんがも別腹」。
http://fashionjp.net/creatorsblog/fukuda/

オフィシャルサイト
http://www.yendesign.com
itabashi
オノ・ナツメ

1977年生まれ。
2003年にweb「COMIC SEED!」(ぺんぎん書房)にて『LA QUINTACAMERA』でデビュー。
2009年『リストランテ・パラディーゾ』(太田出版)がテレビアニメ化、続いて2010年『さらい屋五葉』(小学館)がテレビアニメ化され、幅広い層の支持を集める。
現在、「モーニング2」(講談社)にて『つらつらわらじ』、「マンガ・エロティクス・エフ」(太田出版)にて『逃げる男』を連載中。
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