実況デビュー
ちょっと前のことになりますが、今年入社3年目になった田淵アナウンサーが、
4月22日に「実況デビュー」しました。

種目はバスケットボールbjリーグ。
田淵アナが3位決定戦、私が決勝戦を喋るという状況だったため、
必然的に私が「面倒見役」という立場になりました。

アナウンサーには様々な仕事があります。
司会にせよ、ナレーションにせよ、リポートにせよ、「初体験」は緊張するものですが、
"実況"はとりわけオソロシイものです。

なにしろ、何が起こるかわからない。
台本もない。
とりわけ、試合が始まってしまったら誰も助けてくれないという重圧感・・・。

約半年間、ずっとbjリーグの取材を一緒に続けてきて、
その集大成たる「実況デビュー」の日が近づいてくるにつれ、
田淵アナは 「恐いです・・・」とポツリとこぼすようになりました。

私の実況デビューは13年前、ボクシング実況でした。
デビューの日が近づくにつれ、恐くて恐くて、腹の調子を崩す毎日。
睡眠こそが大事とわかっていながらも、当日は緊張で朝5時に起きてしまったことを
今でも覚えています。

デビュー実況を終えた後、あまりの酷さに、
穴がなければ無理矢理掘ってでも入りたいほど打ちのめされた私に、
その時、面倒を見てくれた三宅アナが「お疲れさん!とにかくお疲れさん!」と、
後輩の不出来を叱りとばすことなく声をかけてくれました。、
その日の夜は、三宅アナのご馳走で酒を飲み、恥ずかしさを忘れたいが故に泥酔したものでした。

あらゆるアナウンサーの仕事の中でも、「実況」は特にハードルが高い種目のひとつです。
1〜2年でモノになるようなシロモノでもなく、
「いつかメインを喋りたい!」という思いだけを支えに、
10年近くは前座試合などでひたすら喋りの技術を磨きつづけなければなりません。

しかも、何年経っても、喋るたびに、「どうしてあそこはうまく喋れなかったのかなあ・・・」と反省ばかりが頭をよぎる。
でも、ハードルが高い故に、喋り終わったあとの達成感は、たまらないものがある。
苦しくてたまらないけど、なんだか抜けられない充足感・・・それが、「実況」という仕事の魅力でもあります。

実況デビューした田淵アナは、中継後、反省の面持ちをしていました。
棒か何かで突付いたら倒れてしまいそうなくらい、反省の面持ちをしていました。
と同時に、重い荷物をとにもかくにも背負いきった"充足感"も漂わせていました。


実況アナウンサーとして、恐くて恐くてたまらない「第一歩」を踏み出した田淵アナ
報道リポーターとバラエティとスポーツという、"3足のわらじ"で大変な中、
全力で取材し、手をぬくことなく準備をして実況に向かっていった田淵アナは、
大きな自信を手に入れたと思います。
新たに「フジテレビスポーツアナ」として歩みはじめた田淵アナを、どうか暖かく見守ってやって下さいね。






投稿:森 昭一郎 | 21:11 | 個別ページ | アナウンサーのコメント(1) | 森昭一郎 | 田淵裕章
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