『朝比奈燿子物語』
2013年02月03日(日)
こんばんは(●^o^●)
APゾエです!

 
『朝比奈恒介物語』いかがでしたか?

周囲から「すべてを持っている男」と見られていた朝比奈恒介。

しかしそんな朝比奈も、あるコンプレックスを自覚せずにはいられなくなった。

朝比奈を犯罪へと至らせたもの……

それは、自分にはない自由な発想と情熱を持った男・日向徹という最高のパートナーへの「恐怖」と「嫉妬」でした。。。

 

 

さて、もうひとつの物語は『朝比奈燿子物語』です(^_-)

朝比奈兄妹を知ってこそ、リチプアの全貌がみえてくる……!?

 

それでは、どうぞ!!

 

『朝比奈燿子物語』

 朝比奈燿子は1987年、東京に生まれる。日経平均が初めて2万5000円を突破、日本が空前のバブル景気に沸いた年である。おそらくその頃の日本人は誰一人として今の世の中を想像できなかったであろう。父親は大手企業で順調に出世街道を歩くエリートサラリーマンであり、経済的には申し分のない家庭で育つ。高い水準の教育を受け、両親から十分な愛情を注がれて少女時代を過ごした。これと言って不自由、不満のない生活である。ただ、一つだけ、兄、恒介の存在を除いて。

 年の離れた兄、恒介はいわゆる神童と呼ばれる少年だった。持って生まれた明晰な頭脳とずば抜けた運動神経、そして周囲を引き付けるユーモアのセンス、とにかく何から何まで持っている人間だった。もちろん燿子も一般的に見れば十分賢く、運動神経もよく、おまけに万人から愛される容姿を持っていた。しかし、それもあくまで一般的に見ればのこと。兄を知る人々からすれば「優秀なあの恒介くんの妹」それが自分の枕詞のようについて回った。もちろん、兄のことは尊敬していたし、自慢でもあった。なにより家族として好きでもあった。しかし、自分がいつも兄と比較され、兄の存在を感じながら生きることに息苦しさを感じていることもまた事実だった。そんな環境のせいであろうか、燿子は明るく快活でありながら、どこか人と交わらない性格に育った。普通の女の子のように、同年代の友人と買い物を楽しんだり、恋人の話に夢中になったりすることもあったが、基本的には一人でいることを好んだ。人にどう思われているか気にする必要もなく、自分が目にする景色、耳にする音楽、口にする食べ物、そんなものに触れながら過ごすことが何より楽だった。

 そんな燿子の人生に転機が訪れる。16歳の時だった。高校2年生の燿子は進学先をどうするかという時期に差し掛かっていた。東大へ進学、優秀な成績で卒業、誰もが知る大手通信会社に就職…そんな絵にかいたようなエリートコースを歩む兄とまたも比較されることが思い描かれ、暗い気持ちになった。進学校である高校ではもちろん、家に帰っても進学先のこと一色の日々に燿子はこれまで以上の息苦しさを感じていた。「将来のため」といういまいち納得のいかない理由でこれ以上の時間を学校で過ごすことにも疑問を抱いていたし、このまま進学、就職となれば、兄と比較される人生が生涯にわたって続くのかと思うとうんざりした。「とにかくどこか遠くへ行きたい…」燿子は漠然とそんなことを思った。ある晩、燿子はこっそりと家を抜け出し、列車に乗った。行き先は特に考えていなかった。強いて言うなら「何かめずらしい、おいしいものを食べたい」そんな風に思っていた。というのも、燿子の唯一にして最大の楽しみは、食べることと、料理することであった。食べ物や料理の世界には兄と比較されるという物差しが存在せず、純粋に自分の価値観でおいしい、とか楽しいといった感情を味わうことができた。「そういえばバイト先の先輩が言っていたな、地元の島根では“ワニ”を食べると…」日本でもワニを食べる文化があったのか。いったいどんな味なんだ。そうだそこへ行って食べてみよう。そんないい加減な思い付きで行き先が決まった。燿子の気まぐれな旅は山陰地方を目指すことになった。23時10分、東京を後にするその列車の名前は“ムーンライト”と言った。西を目指して走るこの列車の名前がかわいくて気に入ったことも目的地決定の一つの理由だった。

 「ムーンライト」という夜行列車であてもなく西を目指す――そんな自分に少なからず興奮しながら列車に乗り込んだ燿子だったが、乗車後10分ほどでげんなりすることとなる。飛行機や新幹線の発達したこの時代にわざわざ夜行列車で旅をするような乗客である。時間は有り余っているが金がない大学生や、筋金入りの鉄道オタク…車内を見回せばそんな客ばかりである。なるべく静かな席をと思い、人口密度の最も少ない後方の座席に腰を下ろす。が、10分もしないうちに2列前の大学生の一団が酒盛りを始めた。車内は夜通しの宴会場となった。「これのどこがムーンライトだ」燿子は列車の名前に八つ当たりするくらいしかなかった。

 深夜12時を回って最初の駅だっただろうか。ひとりの青年が乗ってきたのは。燿子と並びの列、通路をはさんだ席にその青年は腰を下ろした。年は自分よりも5歳くらい上に見える。窓の外を流れていく深い夜がそう演出したのだろうか、ヘッドホンをし、ラップトップのパソコンを開き何かを打ち込んでいる青年は、周囲とはまるで別の世界にいるような不思議な雰囲気を漂わせていた。喧噪の車内にあって、その青年の周囲だけには静かな空気が流れていた。

 「さすがムーンライト」なんだかわからないが燿子は少し楽しくなっていた。喧噪の車内に小さな楽しみを見つけ少し落ち着いた燿子は、自分がひどく空腹であることに気付いた。夕食を取らずにあわてて旅の準備をし、家を飛び出し、そのまま列車に飛び乗った。興奮しているときは気付かなかったがひどくお腹がすいていた。そのせいだろうか、青年が傍らのビニール袋から弁当を取り出し、食べようとしているのを注視してしまう。燿子の視線に気づいた青年が不意に視線をこちらに向けた。「何か?」目でそう訴えていた。焦る燿子。何か言わなければ。「…あの…次の駅ってどれくらい停車するんですかね?」青年は黙ったままだ。「ほら、売店とかあれば何か買いたいなって思って」青年はああ、なるほど、とうなずいた。いっぽう燿子は「自分はいったい何を尋ねているんだ。普通の客がわかるはずないだろう。車掌でもないのに、停車時間なんか」と焦った。ところが青年は思いがけないことに「2時45分着の3時21分発だから停車時間は36分だね。ただ、この時間だから売店はやってないと思う。駅を出たところにコンビニが2軒あるな」と、教えてくれた。どうやらわざわざ手持ちのパソコンで調べてくれたらしい。「ありがとうございます」燿子はそう返すのが精いっぱいだった。

 駅に到着し、急いでコンビニを目指す。確かに2軒ある。自分の食事としておにぎりを2つとせっかくだからお礼にと、青年のためのお茶を買って駅に戻ることにした。改札に差し掛かったところで燿子は「あれ?」と思う。改札に例の青年がいるのだ。燿子を見つけると「よかった。急いで!」そう大きな声を出した。「え?」発車まではまだ10分ほどあるはずだ。いったいどうしたのかと思う燿子。「ごめん。時間を間違えた」聞けばあと数分で列車が出てしまうと言う。ホームに向かって走る二人。しかし、すんでのところで列車は滑り出していく。息が上がる二人。呆然と列車を見送った後、お互いを見合わせる。「ごめん」「ごめんなさい」二人同時に謝った。

幸い燿子は荷物を持って降りていた。いっぽう、青年は手ぶらであった。荷物を心配する燿子。「そう言えば座席に置きっぱなしだった。困ったな」口ではそう言ったが、表情は笑っていた。つられて自分も笑顔を浮かべる燿子。困った状況になったにもかかわらず、どういうわけか楽しいと感じていた。

 始発が出るまで2時間余り。真夜中の駅のホームには二人以外の人影はなかった。「やっと静かになった」青年がつぶやくと燿子も思わずうなずいていた。「ほんとにうるさかったですね」 ベンチに座って燿子が買ったお茶を飲む二人。お茶を飲みながら他愛もない話をした。ばからしい思い付きとも言える旅の目的のことや、できすぎた兄のこと。いっぽう燿子が知ったことは青年が20歳でフリーターであること。ただ、やりたいことは山ほどあり、今それを進めている最中だということであった。燿子が駅のベンチで遅い夕食をとり終えるのを待って、町へ散歩に出る二人。深夜の田舎町である。街灯と信号機が放つ灯りのみの静かな道をしゃべりながら歩いた。燿子は会話を重ねるうち、青年が他とは違う価値観を持っていることに気付く。およそ世の中の常識というものよりも自分の感覚を信じ、それに向かって生きている、そんな印象を持った。いいな。燿子はそう思った。

不意に燿子はコンビニで買ったチョコレートを出してこう聞いた。「昔、お母さんにチョコレートの箱を出されて、好きなの1個選びなさいって言われたの。ほら、いろんな味が入ってる、ちょっと高級なのあるでしょ? わたし、全部食べてみないとどれが好きかわからないって言って、全部食べたの」

「へえ」と青年は相槌を打つ。

「どれもおいしかったけど、好きなのはなかった。そしたら兄がね、大人になったら世界中のチョコレート買って、食べてみればいいよって言ったの。そしたら好きなのが見つかるよって。でも、そうなのかなって。いろいろ買ってみたけどみつからなかったらどうするのかなって」

青年は笑って答えた。

「簡単だよ。本当に好きなものが世界中のどこにもなかったら、自分で作ればいい」

そのとおりだ。“自分で作ればいいのだ”燿子は心からそう思うと同時に、何かの答えを見つけた気がした。

 空が白み始め始発の時間がやってきた。二人が駅に着くと、列車がホームに滑り込んでくる。青年の荷物は二つ先の駅に保管されているという。「そこまで一緒に行ってお別れだ」青年のその言葉がなぜかとても悲しかった。荷物をピックアップしたら、そのまま行くところがあるという。青年がこう続けた。「僕は他愛のないおしゃべりが苦手だし嫌いなんだ。でも君と話すのは楽しかった」 燿子はますます別れがたいと思った。一緒について行ったら迷惑だろうし、そもそも変だろう。どうする、もう一駅通過したぞ。焦る燿子。そういえば名前も聞いていなかった。なんで聞かなかったんだろう。このままじゃ二度と会えない。ぐるぐると考えをめぐらせているうちに、列車は青年が降りる駅に到着した。青年は降りていく。発車ベルが鳴る。燿子は無意識にドアに走っていた。

「また会える?」

青年が振り返る。燿子は続ける。

「すぐじゃなくていい。1年後、あの駅でまた会えない?」

早口でそう言うと、青年は笑った。ドアが閉まり列車が走り始めた。青年は最後に何かを言っていたが走り出す列車の音と、ぴたりと閉まったドアで燿子は聞き取れなかった。

 

島根のワニはサメだった。どうやら方言らしい。好きな味だった。帰って両親に調理師学校に行きたいと言った。「簡単だよ。好きなものがないなら、自分で作ればいい」あのときの青年の言葉が燿子の背中を押した。高校を辞めて専門学校に入った。1年後、燿子は始発で浜松に行った。来るわけない、と思いながら。来るわけない、そう思いながらも心が弾んだ。もし会ったらなんて言おう。今、調理師の勉強してるんです。あのあと高校辞めて、あ、ワニってね、サメだったんですよ。すごくおいしかった。食べてみてください。なんだったら今から食べにいきます?…どんどん妄想がふくらむ。バカだなと思う。どうしてこんなに浮かれるんだろう? 

 青年は来なかった。

 やっぱりと思ったら、急に悔しくなった。そんな子に会ったっけ?って、きっと覚えてもいない。わたしばっかこんなにはしゃいで。夜まで待って。バカだ…。

 自己嫌悪と悔しさで猛烈に落ち込んでいる自分がいた。燿子は思った。

 そっか。好きだったんだ、あの人のこと。

 

 調理師学校を卒業すると、海外に行きたいと両親に言った。優秀な兄に対し、少し型破りな妹は手に余ったのだろうか、両親は反対しなかった。あちこちの国で修行をしながら、いろんなものを食べた。

 20歳で、サンフランシスコのレストランにいるとき、両親からメールを受け取った。「恒介が会社を起こして、今、日本で話題になっている。見てみて」

メールに添付してあった記事をあける。

 “史上最年少で上場。インターネット業界で億万長者に”

そんな見出しとともに、恒介の会社の記事が出ていた。兄ならそれくらいのことはやるだろう。別段驚くことでもなかった。しかし、その記事に掲載された写真を見て目を疑った。

「あの人だ」

兄と並んでカメラに笑顔を向けている男性はまぎれもなくあの青年だった。

名を日向徹と言った。

 

 

すぐに兄に連絡しようと思った。けれどやめた。もう一度記事を見る。

「ほんとに、世界にないものを作ったんだ」

今会うのは嫌だと思った。わたしはまだ何も作っていない。今の自分はまだ、あの人の前に出るには、相変わらず、取るに足りない。きっとまたすぐに忘れられてしまう。

「わたしも世界にないものを作ろう。あの人に会うのはそれからだ」

以来、燿子は料理の世界で頭角を現していく。まだまだ荒削りであったが、雑誌で「将来楽しみな若手シェフ100」にも選ばれた。

 

 日本のレストランオーナーから連絡を受ける。都内に新しい店を出す。新しい感覚を取り入れて、女性に受けるような店にしたい。海外で人気の若い女性シェフを招けば話題性もある。ぜひ来てくれないだろうか。

 燿子は帰国する。兄は喜んで迎えに行くと言う。ああ、兄のパートナーはあの人だったな。燿子は思い出す。昔ほどの意気込みはないが不思議と心が躍る。会いに行ってみよう。ちょっとは驚くだろうか。

「お兄ちゃんの会社に行くよ」

かくして燿子は兄を訪ね、日向徹の前に現れる。

なんて言おう、そうだ。島根のワニはサメだと伝えなきゃ。

あと、これは聞くべきなのだろうか。「あの日なぜ来てくれなかったのか?」と。そしてこれは言うべきなのだろうか。「私はあの駅で朝まで待った」と。

答えを求め、燿子は徹に再会を果たす。

コメント


スペシャルの前に読めてよかったです!
朝比奈さんと耀子の日向との関わり、なくてはならないものだなと感じさせられました(*^^*)
撮影好調ですか? 雪が降ったりで心配してます 寒い中大変ですね…頑張ってください! 熱いリチプアを期待しています♪
志望校合格しました!



なのでこれからは存分にリチプアを
楽しめます(*´ω`*)
すっごい久しぶりにブログみたら、”春のリチプアスペシャル決定“のお知らせが昨年のクリスマスにあっていたことを知り、今ものすごく私のハートがドキドキ、キュンキュンしてます。出演者の皆様、スタッフの皆様、本当にありがとうございます!ちょっぴり心が穏やかでなかったんですが、一気に吹き飛んでしまいました!
春…が待ち遠しいです。
すごい大きい楽しみができました。
本当にありがとうございました。
早く皆さんにあいたぁ~い(^-^)♪
今日からSPの撮影がはじまったんですね! 放送が楽しみです!!! まだまだ寒いですが、出演者のみなさん、特に石原さとみさん!(^^ゞ そして、スタッフさん。お身体にお気をつけて、撮影がんばってください! 放送日を楽しみにしております!!!
ずっと見てました。リッチマンプアウーマン、大好きになりました。早く春のSPドラマの日にちが知りたいです。絶対見ますから(#^.^#)
毎日ブログをチェックしてるんですけど便新されてないですね……(´・_・`)
でもそれは私達を楽しませるために頑張ってくれているんですね!?笑っ
リチプアスペシャル楽しみに待ってます(*^^*)

寒い日が続きますが頑張って下さい!
応援していますっ(`・ω・´)
2月3日から毎日ブログ更新されてないか見てますが、まだでした…(T-T)お忙しいですもんね… またお時間があれば更新してください!!めちゃくちゃ楽しみにしてますので!!!!\(^o^)/リチプアSPまでの待ち遠しい時間をこのブログで乗り越えます!!!笑
燿子のお話もアップありがとうございます。
燿子には燿子にしか分からない苦しみもあったんですね。
誰かと比べられるって誰にも経験あることだと思います。
それをプラスに出来る燿子が輝いて見えます!!

深いお話ありがとうございます( *`ω´)


毎回楽しみにしてます(^з^)-☆
私も末っ子でよく姉たちと比べられているので、燿子の気持ちわかります(*^^*)
燿子みたいに、私も高校卒業後の進路は自分のやりたいことをしたいなーと思っています♪ヽ(´▽`)/
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