新・週刊フジテレビ批評

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美術セットのデザインにはどんなヒミツがあるの?

DATE : 2018.03.10(土)

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2月23日から横浜で開催されている「セットデザインのヒミツ展2」。普段、テレビでしか見ることができない、美術セットのヒミツを覗くことができるこのイベント。
今年は「月9ドラマ」のセットを中心に展示。注目は、去年放送された「コード・ブルー」。地下鉄構内で起きた崩落事故のシーン、そのがれきが山積みになったリアルな美術セットが目の前に。さらに相葉雅紀さん演じる「貴族探偵」が座っていた、ゴージャスな椅子にも座れる。
そして、「民衆の敵」。篠原涼子さん演じる女性市長の一家が暮らす団地の部屋がそっくりそのまま展示されていた。さらに、あの伝説のドラマの名シーンに登場した小道具「スーパーボール」まで。

訪れたのは、横浜市にある放送ライブラリー。4月8日まで「セットデザインのヒミツ展2」が開催されている。去年放送された「月9ドラマ」で実際に使われた美術セットなどが展示され、文字通り舞台裏を知ることができる。
案内してくれるのは、フジテレビ美術制作センターの塩入隆史さん。「101回目のプロポーズ」など、数多くのドラマを手がけた美術デザイナーである。
早速会場に入ると、すぐ目に入ったのが「月9ドラマ」30年の歴史を振り返るコーナー。
1作目の「アナウンサーぷっつん物語」から最新作「海月姫」まで、全126作品を年表で振り返る。さらには、なんと126作品全ての台本が勢揃い。歴代の「月9ドラマ」の台本が一堂に揃うのは、初めてのこと。

そして、奥に進むと、去年春に放送した「貴族探偵」のコーナー。相葉雅紀さん演じる貴族探偵が自らは推理をせず、使用人に謎解きを任せるというミステリーである。
その貴族探偵が座っていたイス。ドラマの重要なシーンに登場する豪華なイスが展示されていた。
しかも、来場者はこのゴージャスなイスに座って貴族探偵になりきり、ドラマの主人公の気分で記念写真を撮ることができるのだ。
早速座ってみた感想を「貴族の気分。貴族アナウンサー」とコメントした久代アナ。
このイスは、豪華絢爛な貴族探偵のイメージに合うように、たくさんの生地のサンプルから素材や色にこだわり作り上げた、どこにも売っていない逸品。
さらに、イスの後ろにあるエンブレムが特徴とのことで、「クジャク」をテーマに「ヨーロッパの紋章と日本の家紋を混ぜたような感じ」のデザインと塩入さんは言い、エンブレムだけでなく、実は柱も「クジャク」を模したデザインとなっている。
テレビ画面では気づかないような細かい部分にまで、デザイナーのこだわりが表現されているのだ。
デザイナーが「クジャク」にしようと決めてプレゼンしたところ、たまたま相葉さんが白いクジャクを飼っていたそうで、決定したという裏話も。

次のコーナーでは、2006年に香取慎吾さん主演で放送された「西遊記」の衣装が展示されている。そこには、紙で作られたセットのミニチュア模型が。
デザイナーは、まずデッサンと呼ばれる「ラフ案」を描き、それを基にして、セットを建てる前のイメージ作りのために紙の模型を作ることもあると言う。
全ての美術セットの基になる「ラフ案」。現在では、デッサンを描く手法も変わってきているそう。
塩入さんは、以前は紙に鉛筆でデッサンを描いていたとのことだが、「今は『iPad Pro』というのがあって。最初からPC、CAD(製図ソフト)でやるデザイナーが増えてきて。紙の場合は、一から黄色に塗って、『いや少し赤いパターンの方が良いかな』と言ったら全部また描き直さないといけない。でもPCだったら色を差し替えるだけで済む。随分便利になったと思う」とデッサンを描く手法の変化について語った。
VTRの実際にiPadを使ったデッサンの様子を見てみると、淡い黄色に塗られた部分をその上から赤い色に塗り替えていき、黄色に戻したいという時、クリックするだけで一瞬で元の黄色に戻った。この手法ならラフ案上で様々な色を試すことができる。

続いて、去年夏に放送した、救命医療チームの活躍を描いた「コード・ブルー」。ドラマに頻繁に登場する医局のセットが展示されている。そして、第9話の地下鉄構内で起きた崩落事故現場のセットも。大量のがれきは運び込むのも大変そうだが、コンクリートの柱などのがれきをスチロールを削り出して、塗装で岩に見せているとのこと。
そして、電車のレールも実は木でできている。レールの光沢やサビなど、金属の質感がリアルに再現されている。
医局のセットを覗いてみると「それぞれ座っている人がいて、その性格を机によって散らかし方や仕事ぶりが違う。それによって飾りを変えていく」と塩入さん。
男性のデスクにはラジコン。しかもよく見るとドクターヘリ。
そして、女性のデスクにあったのは美容のためのサプリメントなど。
大きく画面に映り込む可能性が少ないこうした小物にも登場人物の性別や性格がしっかり表現されているのである。
そして、救命センター内の扉も、実は様々な病室の扉として使い回すため、マグネットで数字などを貼り替えられるようになっているのだ。

続いて、去年秋に放送した「民衆の敵」。篠原涼子さん演じる市長・佐藤智子の家族が暮らす団地のセットが展示されている。子どもの描いた絵なども飾られ、家族想いの主婦という設定通りに仕上がっている。
子どもの描いた絵などは「どうしても大人が描くと子どもの絵にならないから左手で描く」「『子どもらしく』ということはどんなことなのか想像して」作っていると塩入さん。
ちなみに大人たちが苦労して作った作品の中でも、お雛様とお内裏様の飾りつけだけは「民衆の敵」のデザイナーの息子さんが作ったものなのだそう。こうした飾りつけの他、インテリアを選ぶのも美術デザイナーの仕事だそう。
塩入さんは「実際に選ぶのは、装飾担当がやるのだが、どんな感じにしたいかはデザイナーが考える。こだわるポイントは高そうに見えないことなど、ポイントを決めて、実際に装飾担当が集めてきたものをスタジオに飾って」と細部までのこだわりを述べた。

そして、貴重な小道具も発見した。1996年、木村拓哉さん、山口智子さん主演で大ヒットした「ロングバケーション」。
第1話に出てきたのが、木村拓哉さんがマンションの3階から投げ、キャッチしたスーパーボール。
このスーパーボールは、なんとロンバケのプロデューサーだった、フジテレビの前社長・現BSフジ亀山千広社長が20年以上大切に保管していたものだそう。
亀山社長ご本人に真相を伺ったところ、スーパーボールは同じものがたくさん用意されていた、その中の1つだったそう。
それより、もっと貴重なのがお隣のワインボトルだそうで、山口智子さんの結婚式の引き出物として大量に用意され、今では栓の開いていないものは数本しか残っていないという貴重な品。ラベルはドラマのためにデザインしたオリジナルで、なんと出演者のサイン入り。これも亀山社長が大切にとっておいたそう。

最後に、このイベントについて塩入さんは「オンエアの中だと、なかなかどこまで作ってあるのか分からない。今回の展示で、実際のセット、本物が飾ってあるので、『ここってこうなっていたのか』とそういった発見を多分していただけると思う。また違った角度から楽しんでいただけるのではないかなと思っている」とコメント。

VTRを見たコメンテーターの吉田潮氏は「画面に映らなくても…というこだわりを見て、いつもけちょんけちょんに悪口を言ってごめんなさい、と思った」とコメントした。
イベントは、4月8日日曜日まで横浜の放送ライブラリーで開催しており、入場は無料。

 

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