新・週刊フジテレビ批評

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平昌五輪のTVスタッフはどんな準備をしていくの?

DATE : 2018.02.10(土)

CATEGORIES : | ハテナTV |



2月9日、夜8時から行われた平昌オリンピック開会式。
8度目の出場となるノルディックスキー・ジャンプ葛西紀明選手を先頭に、日本選手団が入場。
124人のアスリートが17日間、熱い戦いを繰り広げる。
その熱戦を伝えるためフジテレビからも、大勢のスタッフと出演者が現地入りした。

では、一体どんな準備をして平昌に行ったのか?
今回のハテナは、平昌オリンピックに行くTVスタッフはどんな準備をしていくのか、にフォーカス!

まずは、主に海外スポーツの中継技術を担当しているフジテレビ技術局の中村有吾テクニカルディレクター。
ジャパンコンソーシアム(JC)の一員として赴く。

中村さんは、JCのスタッフとして開会式やフィギュアスケートなどの映像を送り出す役割を担い、日本語の解説、実況などを日本向けのプログラムを作るために技術的にサポートする仕事。

実は、オリンピックの映像は、各国に送られる「国際映像」と呼ばれる世界共通の競技映像とJCが制作する映像の組み合わせで放送されている。

そのJCには、フジテレビの他に、各局がスタッフを派遣。

2014年のソチオリンピック・フィギュアスケート男子フリーでは、高橋大輔選手の演技が終わった際、国際映像は高橋選手を撮り続けていたが、画面は切り替わって、羽生結弦選手がリンクイン。
それがJCのカメラ映像。演技前の羽生選手の様子を撮り続けた。
そして、高橋選手のスロー再生のタイミングで国際映像に戻る。この切り替えをするのが、中村さんの仕事。

なお、ソチ五輪の羽生選手の演技中はすべて国際映像。
見事、金メダルを獲得した羽生選手。競技後のフラワーセレモニーで国際映像は映像制作を終了するが、日本向けに、JCのカメラは羽生選手を追い続け、金メダルの余韻を日本に伝えた。

こうした中継をJCで担当する中村さんは平昌ではどんな準備をしているのか?

機材自体は2年前からメインの技術メンバーが日本から事前に現地へ搬送。フジテレビから持っていくモノは、ほぼない。体一つ。
そんな中村さんが個人的に持っていくモノは、「コンタクトをしているので、自分に合った目薬やチューブ型の味噌汁」とのこと。
さらに、JCの技術チームはおそろいのスタッフジャンパーで一致団結を図っている。材質は薄いが、内側にたくさん着て、平昌の寒さをしのぐ。

JCのオペレーションルームは2年かけて平昌に準備された。
同時にいくつもの会場で行われている競技の映像が、全てここに集められ日本に送られる。

そして、9日の夜、ここから送り出されたのが開会式。中村さんのスイッチングでJCのカメラに切り替わって、また国際映像に戻るという送出が行われた。

また、JCには実況を担当するアナウンサーも各局から派遣される。
フジテレビのフィギュアスケート中継を担って3年の中村光宏アナウンサーが、今回、平昌オリンピックの実況に挑む。
フィギュアスケートは、お手のものと思いきや「今回フィギュアスケート、男子、女子はこれまで担当してきましたが、団体戦を担当するということでペアとアイスダンス含めて80人、現在資料を作っています。正直今、資料の準備以外、手に付かない状況で追い込まれています。」とのこと。
本来、自信のあるフィギュアだが、団体戦は出場選手が多くて大変だという。

そんなフィギュアのために作った資料を見せてもらうと、目についたのは羽生結弦選手の資料。戦歴や滑りの構成などがまとめられている。
しかし、残念ながら、羽生選手は団体戦の出場を回避。努力が水の泡になった。

さらに、馴染みの薄いイスラエルの選手の資料も作っていた。
「個人戦には出場はないんですけど、過去のデータとかを元に大会を振り返ったりして、羽生選手のライバル、ネイサン・チェン。こういうコメント言おうかと考えているんですけど…『高難度の4回転を武器に初めてのオリンピック!』…」と中村アナ。
果たして本当にこのフレーズを使われるのか?
すると、9日のフィギュアスケート団体男子ショートプログラムにチェン選手が登場。
中村アナは実況で、「高難度の4回転を武器に…」としっかりアナウンス。準備したフレーズ通りの紹介だった。

中村アナはアイスホッケーとカーリングの実況も担当。
こちらは問題があるそうで、「アイスホッケー、カーリングも実況したことないです」という。なんとオリンピックで、この競技の実況デビューをするのだ。

中村アナが初めて書いた資料には、「6対6」というプレイ人数から記されていた。
「単語とか言葉を間違えてはいけないので反則名とか言い回しとかを勉強して実況をあててみて、実際に試合を見て、マスクしてぶつぶつしゃべりながら実況練習してって感じですかね」とのこと。
先日行われた日本対ドイツの練習試合でブツブツと実況の練習をしていたという。
試合を見ながら取材メモをとったが、「ほとんど実況しながら見てたので情報とかないんですけど、読めませんね。読めないってことは使わない情報。実況アナウンサーにとって9割準備。1割出せるかどうか。僕の場合は98パーセント準備です。あと2パーセントが本番です」と中村アナ。

そして、カーリングも初めて実況するということで、その名も「みんなのカーリング」という本で一から勉強。
スコアの付け方も見よう見まねで自分で考え、次第に進化。
「進化してオリジナルのひな形を作り出しました」という。

中村アナが個人的に持っていくモノを聞くと…
「風邪薬。奥さんが持っていくようとくれたので。新開発された洋服とか僕に買ってくれるんですけど、要らないって止めてます」と。ちなみに中村アナの妻は生野陽子アナ。

そして、JCチームは4日の日曜日に日本を飛び立った。

一方で、競技の中継とは別に各局独自にスポーツやニュース、情報など、各番組のために取材をするスタッフもいる。
この独自の取材を通称「ユニ取材」と呼ぶ。
スポーツ部の戌亥芳昭ディレクターもユニ取材スタッフの一人。
平昌オリンピックでは統括デスクという立場だが、長年、取材しているスキージャンプについては自ら担当する。
出発前の戌亥ディレクターの自宅におじゃますると、スキーウェアや保温力抜群のアンダーウェアなどが。なかなか準備万端のよう。
「スキージャンプの試合の時間がナイターなんですね。平昌班の中でもより過酷なところに行くという感じ。普段より寒いということでインナーのダウンを購入して持っていこうと思います」と、上着の下に着るダウンを買い。
30分、じっくり機能をチェックして購入。
「スキーウェアの中に着るインナー用のダウン一着とネックウォーマーは持っていたんですけど、こっちの方が耳までしっかり隠れるということで、あと手袋もあるんですけど、その中にさらに薄手の手袋、この3点を購入しようかなと。自腹です!」と戌亥ディレクター。
気になる自腹≠フ総額は、1万5876円。
着心地は「暑くてすぐ脱ぎたい感じ」というが、「取材はバッチリできると思う。選手が活躍してこそバッチリだと思うのであとは選手に期待したいと思う」と語った。
3日後、現地入りした戌亥ディレクターから取材の様子が送られてくると、ジャンプ会場できちんとフル装備している様子がうかがえた。
「氷点下10度くらいなんですけど、日本から買ってきたインナーのおかげで非常に温かく過ごせております」とのこと。

そして、情報番組からも現地取材に出発するスタッフが。
「自分は『グッディ!』という情報番組で現地に入ります。基本的には周辺取材ということで現地の盛り上がりだったり、選手のご家族であったりとか周辺を取材して放送する」というのは、蔵本ディレクター。
彼に求められるのは、なにより、機動力。
「カメラを持っていきます。小さいデジカメですね。撮ったものを伝送するために、今はインターネット回線で伝送できるんで、伝送用のパソコンとか」と、カメラも自ら回す。
放送時間まで余裕がない時は、撮影が終わってすぐ、その場でパソコンを使って映像素材を日本へ送る。
仕事以外で個人的に持って行くものを聞くと、「撮影中に下痢になるとつらいので、下痢止め薬は持って行きます」といい、実は、蔵本ディレクター、少しお腹が弱いんだとか。

最後に、高橋大輔さん、野村忠宏さんとともにフジテレビのオリンピックキャスターを務める加藤綾子さんに意気込みを伺うと「『HERO‘S』を通していろんな選手に取材をさせていただいたので、その選手の勇姿を見守りたいというところと、ほとんど取材させていただく選手の皆さんが私よりも年下の方。おばちゃんが一生懸命応援しているような気持になっちゃう。現地の盛り上がり熱気というものを極寒の地、平昌ですけどもそれを吹き飛ばすような熱いレポートをしたいと思ってます」と意気込みを語った。

コメンテーターの速水健朗氏は「マイナス20度は、八甲田山の行軍遭難事故時の気温。手袋は代えも必要。濡れてしまうと使えないので、二重プラス代えも必要かもしれない。」とコメント。

 

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