新・週刊フジテレビ批評

The 批評対談

2018年 フジテレビはどこへ向かうのか

DATE : 2018.01.06(土)

CATEGORIES : | The 批評対談 |



新年最初の「The批評対談」には、毎年フジテレビの行く末を担うキーパーソンが出演。今年はフジテレビの宮内正喜社長が語る。
2017年は年間視聴率4位に甘んじたフジテレビを、どう改革していこうと考えているのか。
宮内社長は、慶応義塾大学を卒業後1967年フジテレビ入社。
営業局や編成制作局、秘書室などを経て、2007年からは岡山放送社長、2015年からはBSフジ社長を務め、去年6月にフジテレビの代表取締役社長に就任した。

まず、様々な経歴を積み重ね、73歳にしてフジテレビの代表取締役社長を命じられた時の心境について、宮内社長は「ちょうど社会人、放送人50年が去年だった。だいたいひと通り放送業界でやりたいことはやってきたかなと思っていた矢先の指名だったので、ややびっくりはしたが、系列局、BS局、そういうなかなか経験できない、メディアでトップを経験するというチャンスがもらえるということで、意欲に変わった」と振り返った。

毎年新年にNHKでは恒例の「新春テレビ放談」が放送されている。今年1月2日の放送では、カンニング竹山さんが「フジテレビは業績が良くないけど、様々な試みもしているし、変わるのではないか。ワクワクする。」とコメントした。この番組内では毎年のように、出演者からフジテレビへの期待が述べられている。
宮内社長は今年の放送だけでなく、去年の放送も視聴したとのこと。
「去年の放送では『フジテレビは地殻変動が起こる』という結びをされた」と宮内社長、「フジテレビにどんな地殻変動が起こるのだろう」と思い、今年の番組にも注目していたという。
今年の放送では、出演者に日本テレビとテレビ東京のプロデューサーが入っていたことに、時代の流れの変化を感じたという宮内社長。
また、今年の放送で一番印象に残っていることとして、トップの局の若手について述べられた発言を挙げ、「トップの局の若手は失敗するチャンスがない」という話に、「それだったらフジテレビに来てよ、チャンスをいっぱいあげるから、と画面に言いながら見ていた」と語った。「失敗も認めながらチャンスもたくさん与えることが今の我が社では大事なこと」だと考えている、という。

一方、1967年のフジテレビ入社から2007年に岡山放送の社長に就任するまでの40年間の仕事について、「最初は5年間営業担当を大阪でやり、その後はずっと編成局周りで編成部や制作部、そして事業部など、20年ほどやった。その後、全く職種が違うが、秘書室長、社長室長を7年間。その後また編成制作局長になって現場に戻って来た」とこれまでの経歴について振り返った。

その経歴の中で印象深いのは、最初の関西支社で営業の仕事をしていた時のことだという。
「4月に入社して2月に転勤、まだ社会人になって、フジテレビに入っても1年経っていなかった。普通、今でも試用期間が1年ある。その間でその会社の仕組みや人の名前、仕事柄などを覚える訳だが、その暇もないうちに年が明けて2月に転勤になった」と当時の転勤について述べた。
そして、「5年間、新人として苦労した」と述べ、「どこの支社支局もそうだと思うが、先輩たちは常に一緒に指導しながら回ってくれるわけではない。紹介で1回連れていってもらったら後は自分で回って仕事しなければいけない」と苦労した当時を振り返る。
また、「ナショナルスポンサー、全国で出稿していただく会社が大阪にもたくさんあるので、そこにスポット出稿やテレビ番組を提供してもらうために伺うのだが、新人なので、まず宣伝部に通してもらえない。何回も何回も受付で止められて、『混んでいるから』などいろいろ理由をつけられて。自分の目の前を別の局は片手を挙げて入っていく」と、新人だからこその厳しさがあったことを語り、「それが半年ほどは続いた。厳しさもあると思ったが、虚しくなった。だけど、通っているうちに宣伝部にも通していただいて、何かしらの出稿をいただくようにはなった。その時の半年間、約1年近くは一番辛い経験」と胸の内を明かした。
宮内社長の話を聞いた原田氏は「テレビ局の社員のエピソードというより、ビジネスマンのエピソードという感じ」だとコメント。

一方で、岡山放送社長としての8年間とBSフジ社長としての2年間、計10年フジテレビから離れていた宮内社長。離れていた間にフジテレビは低迷し始めたが、宮内社長は「キー局側としてずっと編成、制作など仕事をしていて、今度は系列局、ローカル局側になったが、自分は今までこの案件に関してはこういう仕事の仕方をしていたというものがルーティン的にもある。だけどそれがいかに自分も含めて間違っていたのかなというのを具体的に感じた。頼む方と頼まれる方の構図ってこんなに違うのかなということを特に地方局に行った場合は感じた。」と、離れることで仕事の仕方について感じることもあったと述べた。
例えば「地方局では自分たちが制作した番組やイベントなどを全国に紹介してほしい」という希望がある一方で、地方局が20数局あり、キー局は希望を聞いていると枠が足りなくなるため、調整しなければいけない。しかし、「お願いする方の側からすれば、どうしてやってくれないのだろうという思いが常にある。それをお願いする方からは見ることができた。だから、その時にキー局の、頼んで来たところに対する言い方、処理の仕方、これが大事なのだなと感じた」とフジテレビから離れていたからこそ感じたことを語った。

BSフジ社長時代には「プライムニュース」高い評価を得たほか、良い業績を築いた宮内社長は「BSフジの2年間は良い環境で仕事をさせていただいたが、何とか地上波も巻き込んで大きくしたいと思ったのは『プライムニュース』。あれだけの信頼と視聴者に対する影響力で、民間放送の番組にしっかりとした全国スポンサーが提供していただいている理由を、本当に『プライムニュース』で見せつけられた感じがした」と「プライムニュース」が培った圧倒的な信頼度について述べた。
そして、「『プライムニュース』の信頼を地上波にも何とか広げられないものかなと。BSフジにいた時も4M(4メディア)連携で、BS・地上波・CS・インターネットという形でやってきてはいたが、もっともっと信用される報道ニュース番組をBS・地上波ともにフジテレビグループで作り上げていく、新しいものを作り上げていくことはできないか」と感じていたという宮内社長。

また、今後のフジテレビの戦略について、2018年のスローガンは「もっと変える、もっと変わる」と紹介した上で、「就任した時に『変えることによって変わる』というキャッチコピーで6カ月前、各セクションにも社員の皆にも相当きつい思いをしてもらった。例えば、部局が21局あったものを14局に減らして横串が差しやすいようにし、意思の疎通を良くするなど。視聴率を回復しなければいけないため、全社が視聴率を上げようという部分に目を向けるところで、編成主導という形の体制を全社的に執り始めた」と、社長就任時から視聴率を上げるために掲げてきたコンセプトを語った。
フジテレビは、去年は年間視聴率が4位だったが、視聴率回復のために今フジテレビに必要なものとして、「フジテレビの外でいろいろとお世話になっている関係者や会社、広告主や広告代理店、プロダクションが、恐らくお世辞もあったのだろうが皆さん異口同音に『我々の仕事はフジテレビの力がもっと上がってくれないと困るのだよ』とエールを送ってくださった。もちろん社員が良い企画を考えて視聴率が上がるのがベストだが、外の方々の支援、後押し、それが結果としては視聴率アップのスタートラインになるのではないか」と関係各社への思いを述べると同時に視聴率アップへの意気込みを述べた宮内社長。

そして、2018年は冬季オリンピックやサッカーワールドカップなどがあるが、「これも僕はずっとフジテレビ社長に就任した時から言っているのだが、このお台場の地のど真ん中に会社が、しかも球体を持ったランドマーク的なビルがあり、2020のオリンピックの関連施設や競技場があり、このブロックでも競技が行われることは内定している。その勢いを上手に、中心的な位置で何ができるかということを去年からチームを作って検討をしていて、これも1つのフジテレビが浮上する大きなきっかけになるのではないか」と、フジテレビならではのオリンピックやワールドカップに向けた構想を語った。
また、サッカーワールドカップではポーランド戦の中継もあり、「これも16年ぶり。その時は60%以上の視聴率をとりフジテレビも元気づいたので、それをまた上手くくじを引き当てた。6月28日だから、この辺がちょうどまたフジテレビが浮上する大きなきっかけになれば良い」と、今後のフジテレビの視聴率アップへの期待を述べ、2020年という大きな節目を迎えるにあたり、「お台場にいるという部分をどう生かせるか。番組だけではなくてイベントも含めて、フジテレビだけではなくてフジサンケイグループや系列局を巻き込んで大きなムーブメントを作りたい」と新たな意気込みを語った。

原田氏は、「例えば、月9の視聴率低迷など、フジテレビといえば若者というイメージが長らく強かったと思うが、若者研究をしている立場でいうと、最近はテレビ東京や日テレなどの方に若い人が少し向いている。新しいメディアも出てきた」と原田氏ならではの若者のテレビに対する考え方を述べると、宮内氏は「最初に73歳で社長という感想を言われたが、歳をとるほど若者に対する関心は高まっている。イベントや番組など、クリエイターがフジテレビにはまだまだたくさんいるので、期待はしている」と若者に対する関心やテレビへの意識づけについて述べ、対談は締めくくられた。


GUEST
宮内正喜 / フジテレビジョン代表取締役社長
【生年月日】 昭和19年 1月28日(74歳)
【経 歴】 昭和42年 4月 フジテレビジョン 入社
秘書室長、社長室長、編成制作局長を経て、平成12年執行役員就任
平成13年 6月 同社 常務取締役
平成18年 6月 同社 専務取締役
平成19年 6月 岡山放送 代表取締役社長
平成27年 7月 ビーエスフジ 代表取締役社長
平成29年 6月 フジテレビジョン 代表取締役社長(現任)
フジ・メディア・ホールディングス 代表取締役社長(現任)

COMMENTATOR
原田曜平 / 博報堂ブランドデザイン若者研究所


 

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