新・週刊フジテレビ批評

安藤優子キャスターの「テレビ2017年」

DATE : 2017.12.23(土)

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安藤氏も現場で長年活躍されている中で、取材に行ってみて分かることは大事だという。

今でも取材に「行きたい」という気持ちを持ち続けており、内緒で行ったりすることもあるとのこと。

先日の総選挙でも「演説を聞きに行ったり、関係者の話を聞きに行ったりなど。自分なりにできることはしようと」と述べた安藤氏は「現場って不思議で、現場で何を見るかはそこに行った人間が何に興味を持つか、その人間が最大限試される試練の場」だとした。

現場に行き、Aさんが着目したもの、Bさんが着目したものは異なり、着目点の違いによって見えてくる風景、伝えることが全く変わってくると安藤氏は感じている。

「AさんBさんCさんが何に着目して、何を伝えたかは、その人に任される。現場に行かないで見ているだけだとCさんやBさんやAさんが見たものだけしか見えてこない。でも、自分が現場に行けば、それ以外のものが見えてくる。それと同時に空気など。新聞でも何でも文章でも、よく行間を読むと言う。まさに行間が現場。それは現場に行かないと、なかなか見えてこない」と現場では取材者が見た光景以外の“行間"が見えてくると語った。



前回「新・週刊フジテレビ批評」に出演した時、「普通の感覚を忘れたくない」と話をしていた安藤氏。

速水氏は、安藤氏に対し「毎日生放送をやられていて、普通の人の生活を体現するのは難しいのではないかなと思う」と述べたが、安藤氏は「そんなことない。朝起きて、犬の散歩に行ったり、ご飯作って食べたり…。テレビに出ていること以外はごく普通。人の番組を見ている時に、単にツッコミを入れて見ている普通の視聴者」だと述べた。

テレビにツッコミを入れながら見るのが一番面白いという安藤氏は、「テレビは出るものではなくて見るものだということがよく分かる」という。

また、お茶の間で安藤氏にツッコミを入れている人達がいることも意識はするが、「それが私たちの役目」だとし、「『何だよ、安藤』などと言われているのが、私がお金を頂いている理由」だとした。

安藤氏は、普段テレビを見ながら「これでコマーシャル行くの?」などとキャスター目線でもツッコミを入れているという。

出る側の論理も入ってくる安藤氏は「現場を呼んで、なかなか現場が答えなかったりすると『キュー』などと言っている」とスタジオを和ませた。



また、今はSNSの普及により、自分で情報発信などをするようになり、作り手目線のようなものがテレビの見方として普及していると安藤氏と速水氏は感じている。

速水氏は「どんどん仕事にも慣れていき、どんどんそこにあぐらをかいていくことは普通に起こっていくことだと思う」とした上で、安藤氏のワクワク感を維持していこうとする意識について問いかけた。

このような問いかけに対し、安藤氏は「日々精一杯」とし、「それは一生懸命頑張っていると威張っているのではなくて、目の前にあることが全て」と述べた。

そして、安藤氏は自分自身を「生放送タイプなのかもしれない」と述べ、「明日何かがあるから早く寝ようと思ってもできない。その日にこれがあって、これが楽しいと思ったら、今日はこれなのだから明日は明日のことでしょうと思ってしまう。そういう部分では日々精一杯。今起きていることに向き合うので精一杯」だと述べ、「日々自転車操業のよう」だと自分自身について語った。

どんどん落ち着いていく人は慣れていったり、経験値が上がっていったりすると、ワクワク感を失うが、そこがずっと維持されている点について、安藤氏は自身を野次馬だと表現し、「今でも救急車や消防車などがいると、自分で車を運転していたら絶対止める」という。

「何が起こっているのだろう?」と思うという。

また、「“慌てんぼう"」だという安藤氏は、ニュースは何かが起きて「少し休んでから現場に行こう」と思ったら現場はなくなってしまう、「慌てんぼう力」はあるとした。

安藤氏は「慌てんぼうではないということは信じられない」と述べ、「『慌てるな、慌てるな』『きちんと確認してから』と言っていると絶対ビリになるような気がする。そんな慌てなくてもと言われるかもしれないが」と安藤氏ならではの持論を展開。



安藤氏は、報道のあり方、情報番組のあり方を見て、真面目になっているな、慌てんぼう力が足りないなと思うことがあるという。

お行儀が良くなってくると、見る側も予定調和を見せられているような気になってくると考えている安藤氏は、「テレビは魔法の箱」だと思っており、「カチッとつけると何が飛び出してくるのか分からない。そのワクワク感が生放送」と述べ、ニュースでワクワクしてもらうことは邪道だとした上で、「でも、どこかでテレビの魔法の箱のドキドキ感というものは、送り手である私たちも忘れては絶対にいけない」と主張。

そのような気持ちを忘れ、ものすごい優等生になって、「テレビはもうワクワクしません。事実だけをお伝えします。ゆっくり」となると、「どうしたの?テレビ」となってしまうのかなと思うとのこと。



安藤氏のキャリアは、40年近いが、「新聞記者やチャンネルリスト、局アナなどの過去がない特異な経歴」だという速水氏は、安藤氏のような方は他にいないと述べた。

このような意見に対し、安藤氏も「かもしれない」とし、安藤氏自身の過去を振り返る。

安藤氏は、「アナウンサーの訓練を受けたこともなく、たまたま学生時代のアルバイトでテレビ朝日の報道番組のアシスタントをし、そこから現場に行くようになった。その積み重ねで今があるので、特異と言えば特異」だと自身の現在に至るまでの経緯を述べた上で、「私は育てていただけて、ものすごく恵まれていたのかもしれない」とした。

戦争が起きれば戦争に行ってこいと言われ、紛争が起きれば紛争に、暴動、地震、事故が起きれば行ってこいと言われていた安藤氏は「どこの現場にも、のべつ幕無しすぐに出してもらえた」という。

今だと危機管理の問題が「いの一番」に出てくるため、「大事なアナウンサーを危ない目に遭うかもしれない現場には出せないなど、そういうコンプライアンス、ガバナンスが効いている」と述べ、「私が育てていただいた時代は、そういうものがほぼなかった時代なので、どこにでも行けと」と戦争や紛争など様々な取材を経験することで育てられた安藤氏自身の経験を振り返った。

海外のキャスターやアンカーの方などの場合は、現場からどんどん成長してくるイメージがあり、安藤氏自身もアメリカやイギリスの例しか分からないが、「現場からたたき上げてくる。地方から中央に上ってくることは、大変なプロセスで、ものすごく熾烈な競争だと思う」と述べ、「そういう競争はあまり日本の場合はないかもしれない」と語った。



最後に、これからも報道を伝える上で、安藤氏は「“やんちゃ"であり続けたい。どこかで私は常に“慌てんぼう"の野次馬でいたいと思う。それしか自分にはできないのではないかなと思う。テレビはドキドキ感がなくなったら、終わってしまうと思っているので、この魔法の箱をできるだけ大切にしていきたい」と今後の意気込みを語った。



そして、最後に新人の時に「スーパーニュース」で一緒に出演した経験のある久代アナが登場し、「中継で安藤さんとの掛け合いがあって、その原稿が一番嫌だった」「何を聞かれるのかも分からず、想定の質問が1〜2個書いてあるのだが、安藤さんは絶対に書いてある質問はしてこない」と当時の緊張していた心境を述べた。

渡辺アナが「決まりきった予定調和は安藤さんはしない」と述べると、久代アナは「安藤さんのワクワクドキドキは、私のハラハラだった」と当時を振り返った。

久代アナは、安藤氏はアナウンサーにそのような時に何を求めているのかと問いかけると「私は単純、普通なので、聞きたいことを聞く。私が久代さんの側に立ったとする。私は中継先で何かを聞かれた時に大失敗を何度もしている。その失敗の原因は何かというと、格好良い答えをしようとした時に失敗する」と安藤氏ならではの経験を語る。

「きちんと自分が思ったことを言えば良いのに、少し格好つけようかなと思った時に失敗したりなど。とんでもないこと、起承転結のないことを言ってみたり、どこかから借りてきたような言葉を使ってみたりという失敗をしてきた」という安藤氏は、「もし求めるとするならば、私はありのままでいてほしい」と述べ、「私は難しいことを聞いているのではなくて、基本的なことを聞く。『そもそもそれってそうなの?』など。そんなに哲学的なことを聞く訳ではない。ありのままを出すことも勇気」と語った。

それは、ツッコまれても恐れないところであり、「格好つけないのが一番格好良いと思う」とベテランの安藤氏ならではのアドバイスを述べて、対談は締めくくられた。

 


GUEST

安藤優子 / キャスター

1958年生まれ 高校時代に米留学 上智大学卒 86年にフィリピン報道でギャラクシー賞・個人奨励賞受賞 87年からフジテレビ報道各番組キャスターを歴任し、2015年から「直撃LIVE グッディ!」メインキャスターに

COMMENTATOR

速水 健朗(ハヤミズケンロウ)  / 編集者・ライター

 

 

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