新・週刊フジテレビ批評

The 批評対談

骨太なテーマ&キャスト “秋ドラマ”徹底批評

DATE : 2017.11.04(土)

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今期も各局合わせて、およそ30のドラマがスタートした。恒例のドラマウォッチャーによる秋ドラマ徹底批評。今回もライター、スポーツ紙記者、ドラマ批評家の3人に集まってもらった。ドラマウォッチャーたちは、この秋のドラマをどう見ているのか。

「日刊スポーツ」のウェブサイトで「梅ちゃんねる」という芸能コラムを担当している、梅田恵子氏。
ライターで、週刊新潮で「TVふ うーん録」を連載している、吉田潮氏。

最初に、ドラマ解説者・木村隆志氏は「秋は『逃げ恥』や『下町ロケット』など、ヒット作が出る時期。各局もエース級のスタッフを動員して、見応えのある骨太な作品が多い。一方の視聴者も芸術の秋というイメージで、しっかり見る、じっくり見る」と秋ドラマの印象について述べた。
また、ながら見よりもしっかり見る視聴者が多いため、必然的に骨太な作品も多くなる。
それらの影響もあり、主演俳優の年齢が上がるという。プライムタイムのドラマの主演俳優の平均年齢は44.5歳。20代30代の方はどう見るのかという部分もあるが、「骨太なものが揃ったということは間違いない」と分析。

秋ドラマ、各局のおもなラインナップは次の通り。(カッコ内は主演)
フジテレビ〜「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」(篠原涼子)、「明日の約束」(井上真央)、「刑事ゆがみ」(浅野忠信/神木隆之介)、「さくらの親子丼」(真矢ミキ)。
日本テレビ〜「奥様は、取り扱い注意」(綾瀬はるか)、「先に生まれただけの僕」(櫻井翔)ほか。
テレビ朝日〜「相棒season16」(水谷豊)、「科捜研の女season17」(沢口靖子)、「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」(米倉涼子)ほか。
TBS〜「監獄のお姫さま」(小泉今日子)、「コウノドリ」(綾野剛)、「陸王」(役所広司)ほか。

その中で3人が選んだおすすめドラマに、フジテレビドラマも入っている。
木村氏は「先に生まれただけの僕」(日本テレビ)、「明日の約束」(フジテレビ)、「ブラックリベンジ(日本テレビ)」、「陸王」(TBS)。
梅田氏は「刑事ゆがみ」(フジテレビ)、「先に生まれただけの僕」(日本テレビ)、「明日の約束」(フジテレビ)。
吉田氏は「コウノドリ」(TBS)、「刑事ゆがみ」(フジテレビ)、「明日の約束」(フジテレビ)を挙げた。

3人が共通しているおすすめドラマ「明日の約束」(フジテレビ)。
木村氏は「今回も攻めている、しっかり勝負している。よく言われるような視聴率の方程式に則っているドラマではなくて、本当にテーマのある骨太。学校問題、母子の問題を真っ向から扱っていて、息抜きを入れてしまうということを一切やらずにハードに描いている」とドラマの描き方について評価。
さらに「キャストも良い。人気や損得勘定などではなく、しっかりと役に合う方を選んでいる。子役も素晴らしい」と配役の良さについても述べた一方で、視聴率だけついてこない状況に苦言を呈した。
梅田氏は「学校という閉鎖社会と、家庭というブラックボックスのグロテスクさを丁寧に引きずり出していて、見応えがある。暗いのだが、それを超える興味がどんどん湧いてくる。本当に丁寧な作りが分かるので、こういう番組が評価されるべき」と絶賛。
吉田氏は「私の大好きな親子のズレやゆがみを丁寧に描いていて、淡々と。そして、事例をたくさん入れている。主人公の井上真央さんにも実は毒親がいて、手塚理美さんが構えている。生徒たちも同じように毒親との闘いというものが複雑な構造でミルフィーユのように描かれていて、見応えがある」とおすすめの理由を明かした。
吉田氏は、フジテレビ系列のドラマをおすすめのドラマとして1年以上挙げておらず、今回はそれ以来となる。

続いて、梅田氏と吉田氏の2人がすすめるドラマは「刑事ゆがみ」(フジテレビ)。
いつもは好みが分かれる梅田氏と吉田氏だが、今回は一致した。
梅田氏は「抜群。今年1、2を争う面白さ。」と絶賛し、「浅野忠信さんと神木隆之介さんの意表をつくコンビがものすごく良いテンポで、格好良い。キャラクターが格好良いということは、きちんとその人たちの魅力を描けているということ。浅野さんのゆるっとデリカシーがないように見えて、全てこの人のやることには意味がある。ガッツとギラギラ感でついていく神木隆之介さん。どちらも大人の男も若手も、男の色気が凝縮されている」と主演の2人の演技ぶりも絶賛した。
また、ドラマ内の事件も人間誰でも持っているゆがみが引き起こす悲しい事件であり、事件としての見応えもあるという一方で、視聴率の不振に疑問を呈した。
吉田氏は「格好悪いと思っている。浅野忠信さんがダサい。スーツのウエストの部分が高く、今どきのスーツではない。そして、バッチイ。ダサくてバッチイ『ダサノ忠信』。そういう浅野忠信さんが見たかったという人にとっては、もうたまらない作品」と浅野忠信さんの役柄に対してコメント。
また、「神木隆之介さんも今までは子役からの成長を皆追っていたが、今回はスーツで、きちんとした大人の役で、社会人デビューをして出てきている。その神木くんの甘さ、青さ、駄目な感じ」と神木隆之介さんの役柄についてもコメントした上で、「どっちもダサいし、駄目。だけど、その2人にきちんとクローズアップをして、2人のコンビネーションを愛でる、楽しむという意味では良い」と2人のそれぞれの役柄の見どころについて述べた。
「刑事ゆがみ」(フジテレビ)では、毎回の容疑者役にも手練れを入れており、杉咲花さんや水野美紀さんが出演している。吉田氏にとって満足度が高い作品とのこと。
木村氏は「刑事モノの中では最高峰で素晴らしい。色気があって、格好良くも格好悪くも見える、重層的なキャラクターにもなっている」と賞賛した一方で、「一話完結で慌てて解決していく流れは、もう少し骨太に描いても良いのではないか。一話完結にこだわらなくても」とおすすめのドラマに挙げなかった理由について述べた。
「刑事ゆがみ」(フジテレビ)を撮影している西谷弘監督の映像は格好良い。しかし、「もう少し脚本を練れたら」と言及した。

続いての梅田氏のおすすめドラマは「先に生まれただけの僕」(日テレ)。
「とにかく痛快」と評価した梅田氏。主演の櫻井翔さんのエリート役も似合い、高校を立て直しに来た商社マンという設定に関しても「何かやってくれそうな匂いがプンプンする」と期待を述べた。
また、「商社と職員室という、全く違うカルチャーが対決した時にどうするのだろう?」といったところの面白さやビジネスの備品の使い方、不満分子の追い払い方まで商社のカルチャーがたくさん出てくる、このドラマ。「常識を知らないからこその飛び越える力のようなものもあり、私たちが生きている中でもヒントになることがいっぱいあるのではないか」とこのドラマの魅力について語った。
「意外と生徒に響いたと思うと、最後に全然響いていなくて大爆笑してしまったり。響いていないと思うと、意外と響いていたり。その辺のズッコケぶりもドタバタぶりも結構面白い」と梅田氏は分析。
「先に生まれただけの僕」(日テレ)は、以前「新・週刊フジテレビ批評」にも出演した脚本家の福田靖さんが脚本を手掛けており、職業エンタメの作品で有名とのこと。
さらに、監督はドキュメンタリーチックな映像を撮る、クリエイティビティな水田伸生監督。
「福田さんと水田監督が上手くかみ合って、フジテレビの『ザ・ノンフィクション』のようなイメージで見るのも楽しい、そういう目線でも楽しめるようなリアリティもある」と木村氏は脚本家と監督の関係性を評価。
「内容もしっかり取材して作られているようなイメージもあり、良い」と絶賛。木村氏も梅田氏と同様に、比較されているものが面白いと分析。
学校と民間企業。教師と会社員。「そこの比較のセリフ劇が福田さんで、上手い」と福田氏の手腕に高評価。
吉田氏も、奨学金の制度について、「若い人が大学を卒業した途端に何百万も借金を抱える現実、事実、真実をきちんとドラマに練り込んでいるところが評価できる」と評価。
挙げてはいないものの、これからも注視していきたいと述べた。

吉田氏のおすすめドラマは「コウノドリ」(TBS)。
今期はシーズン2となる「コウノドリ」。出産の現場を描く難しさ、タブーもあり、配慮もあると吉田氏は分析。
今期の「コウノドリ」は「医療現場の声もきちんと入れつつ、妊娠をしている人、お産をした人、お母さん、様々な立場の人に気を配った発言を練ってセリフに入れている。大の大人でも妊娠・出産について、ほぼ知らなかったりする。つわりって何?という男の人もいる。そういう方にとっては、こういうドラマから入って現実を知るということは良いのではないか」と様々な視点に立ったドラマ作りについて高評価。
産まない人への配慮もあり、吉田氏は「私は産まない人間なので、そこに対してもきちんと主役の綾野剛さんがセリフを言う。そこに産まない人間はほだされる、グッとくる」と絶賛。
梅田氏も「様々なタイプの女の人が世の中にはいるが、誰にも疎外感を感じさせない」というところが前作のシーズン1との違いであり、今期のシーズン2はだいぶ見やすくなっていると分析。
梅田氏は「私は命の大切さなど、否定しようもないものを上段の構えからドーンと振り落とされてしまうと、受け止めきれなくなってしまったりもしがちなのだが、今回のシーズン2はそんなこともない」と述べ、「出産したバンザイで終わるのではなくて、産後うつやその後の産んだ後のことにもきちんと焦点を当てて、しっかり描いていると思うので、一丸となって作りたいものに焦点が合っている」と高評価。
木村氏も「医療ものはどうしても外科手術の中でも心臓、脳にいきがち。産科はこんなに身近で重要なのにあまり真っ向から扱うものはない」と医療ドラマの制作傾向について述べた上で、「コウノドリ」は「シビアな部分もきちんと描くので、これはもう文句を言えない作品」と分析した。

木村氏のおすすめドラマ「陸王」(TBS)について、「好きか嫌いかというよりも素晴らしい」と木村氏は評価。
日曜劇場の“熱い男シリーズ"は、飽きた、ワンパターンなどと言われがちだが、一方で、視聴者のニーズに応えているのは間違いない。同じものをシリーズ作でやるのではなくて、ジャンルや舞台を変えて、作り替えている。「一貫してやり続けるということはものすごく大変で、そこに挑んでいる。昔の巨人みたい」と木村氏は分析。
王道で、アンチも多いが、多くの視聴者のニーズに応えているところが視聴率にも出ているという。
「ドラマ全体で見たら必要なジャンル。ずっとやっていることがもっと報われても良い。数字だけではなくて、評価の部分でも入れていかなければ」と制作側の姿勢について高い評価を述べた。
山崎賢人さんと竹内涼真さんというイケメン2人の揃い踏み、Wイケメン俳優も話題となっているこのドラマ。
梅田氏も「なかなか見応えがある。いつもの感じなのだが、それだけで終わらせない何か工夫のようなものも感じるので、女性から見たら今回は少し面白いかもしれない」と期待を述べた。
さらに、今回は縫子さんが女性達で、ベテラン女優や阿川佐和子さんなども出演しているが、縫子さんの活躍もしっかり描かれている。女性も置いていかれないように、きちんとチームの中に入っていると木村氏は分析。
一方で、梅田氏は、埼玉県の話なのに約半分が関西弁なところには違和感があるとした。
吉田氏は、「私はもうお腹いっぱいという感じがあって、アンチの方ではある」と厳しい意見を述べた。
しかし、役者と原作に罪はないという吉田氏は、「役所広司さんを見たい」という。
色気のある役所広司さんを見たい気持ちがあるものの、あの世界観に入ると「日曜劇場俳優という枠に当てはめられてしまう」と残念な気持ちをにじませた。
吉田氏は、イケメン2人に関しても同様の思いを感じている。
皆で感動に持っていくという制作方法についても苦言を呈した。
一方で、小説家の池井戸潤さんの作品が「1パターンではないということは言いたい。池井戸潤さんの作品をあのように描く日曜劇場が1パターン。NHK『七つの会議』やテレ朝『民王』では、池井戸潤さんの作品だけど全然違うテイストに仕上がっていた。そういうものがほしい」と吉田氏ならではの独自の視点で分析した。

ここからは久代アナウンサーも参加。
まず、秋ドラマのポイントについて「重い」と久代アナ。
例えば「明日の約束(フジテレビ)」も面白くて大好きで見ているが、「一話を見てお腹いっぱいになってしまう。気合いを入れてテレビの前に行って、見るぞと映画を見る感覚で見ないと見られない」と久代アナは述べた。
久代アナの意見に対して、吉田氏は「私も普段はあまり重い方向にいかないので、今何でこの秋に重いものを求めているのだろうと思うと、多分自分の人生が黄昏時だからだと思う」と自己分析。
問題提起の作品が多い、秋ドラマ。親子関係や出産など、いろいろな問題がある。
吉田氏は「重い傾向も少し楽しんでみるということは良いのかな」と久代アナに述べた。

一方で、軽い、爽快に見られるドラマで「監獄のお姫さま」(TBS)、「奥様は、取り扱い注意」(日本テレビ)の2本は面白く、久代アナのおすすめドラマである。
宮藤官九郎さんが大好きな吉田氏は、いつも原稿でもクドカン作品を絶賛している。
しかし、今回は少し初回のテンポが違う感じがした吉田氏。初回を見た後の感想について、「何だろう?と、2話目が気になった。どういうことだろう?」と感じたと久代アナ。
吉田氏は「いつものクドカンファンからすると、どうしてしまったのだ?という感じがあった気がする」と述べると、梅田氏は「よく分からなかった」と辛辣な意見。
「時系列がとにかく行ったり来たりして。見る前にシナリオを少し見たのだが、誤植かなと思うほど同じシーンが何回か出てきて。これが映像になるとどうなるのかな?と思って見たのだが、今一つ意味が分からない。」とガッカリ感をにじませた。
梅田氏は「突然戦隊コスプレが始まったり、どちらかというと舞台で宮藤官九郎さんがおやりになる方の世界観のドラマなのかなという感じはした」と分析。
久代アナも「確かに1話目は少し分からなくて、2回か3回見た。2話目を見て、また1話目を見てと何回も見て、さらに先が気になった」という。
梅田氏は「豪華キャストすぎる布陣」というキャストについても言及。
小泉今日子さん、満島ひかりさん、菅野美穂さん達が出演しているこのドラマ、TBSは夢の豪華共演ということで謳っている。
しかし、梅田氏は「私からすると4番打者ばかりで、逆に夢のなさを感じてしまう。せっかく軽快なコメディーになるはずなのに、いろいろ大渋滞した感じ」と厳しい意見。

久代アナは、「奥様は、取り扱い注意」(日本テレビ)も絶対強い、勝つという簡潔なストーリーが見やすくて、楽しみに見ているとコメント。

ここからはその他の注目作を紹介。
まずは、フジテレビの月9「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」について、木村氏はドラマの前に脚本を読んだという。「その時はまぁまぁ面白かった。これ良いなと思って期待していたら、映像を見てみたらなんじゃこりゃと思ってしまった」と辛辣な意見。「篠原涼子さん演じるヒロインの人物の造形がより貧乏で、より正直と誇張されていた。その辺りのヒロインの造形が、タイプ的に古い。90年代に流行ったヒロイン、主人公像で、今他局はあまりやっていないところ」と分析した。
前期放送の「セシルのもくろみ」もそのような部分があったと木村氏は述べ、「演出、スタート時点の段階でキャラクターを過剰につけすぎてしまう。それは感情移入を阻害している。視聴者はもっと普通の人が主人公で良いのだというのが主流の中で、まだ昔のロジックが入っているのではないかなというところはもったいない」と主人公像の造形の仕方について苦言を呈した。
梅田氏も「議員報酬目当てで主婦が市議会議員になるという無節操なテーマは完全にコメディー向きで悪くないテーマだと思う。目の付け所もとても良い。ただ、それを安っぽい苦労話や安っぽい『幸せになろうね』というキャッチフレーズなど、そういうディテールで無理に感動話に持っていこうとすることが全てすべってしまっている」と厳しい意見。
「篠原さんをいっそヒールにしてしまって、カネカネカネとやって邁進していたら結果的に庶民のためになっていたというロジックの方がよほどコメディーとして生き生きと見られたのではないか。私はそういう方で見たかったのだが、方向性が私の好みとは違っていた」と分析。
まだ議員になったばかりで、「今後どうなるのかというところは期待したい」と述べた。
吉田氏は「本当にセシってしまったなという感じ」と「セシルのもくろみ」と同じような制作傾向にあると分析。
吉田氏は「こういうヒロインをこれからフジテレビはまた量産していくのかい?」という疑問も感じると厳しい意見。
また、「庶民を表現するのに、なぜ、がさつにしなければいけないのかといつも思う。多分このドラマを作っている人たちは庶民ではない。庶民=がさつ。だけどどこかで清貧、清く貧しいというのを求めている」と分析。
梅田氏の考えと同様に「本当にカネカネカネで金目的で議員になって何が悪いの?」程度に言う感じなら、まだ何とかなったと吉田氏も考えている。
「清さも背負わせ、だけど、がさつ。後ろで寝ている議員をパコーンと叩くって…古いというのもあり、本当の庶民を分かっていない」とマイナス評価。
久代アナも「篠原涼子さん演じるあの役に私が投票するかといったら、しないなと思って見てしまった」と感想を述べた。
「打ち合わせで、1票入れられないよねという話にはどうしてもなってしまって。もうその時点でどうなのだろう」と梅田氏。
一方で、高橋一生さんが好きな吉田氏は、高橋一生さんの役柄が「今後どう出るかなというのを見たい」と述べた上で、元アイドル議員役の前田敦子さんが化ける可能性もあるのではないかと木村氏とも話しており、「意外に良い感じで出るかもしれない」と他の役柄の見どころについて述べた。
また、このドラマでは、深夜にスピンオフを放送中。木村氏、吉田氏ともに前田敦子さんの演技への期待を述べた。

真矢ミキさん主演の「さくらの親子丼」(フジテレビ)については、木村氏は「僕が前、大好きだった東海テレビ系列の昼ドラの流れを汲んでいるもので、ストレートな人情感動もの。そのまま深夜に直輸入するような感じになっていて、何も変わっていない」とした上で、「悪い言い方をすると、キレイ事を描いているところがあって、ストレートに感動もできるけど、もう一歩深夜に行ったのだから攻めて良い、深くえぐっても良いのではないか」と分析した。

そして、シリーズものが中心のテレビ朝日のドラマについては、視聴率は高いが手堅すぎるとの意見が。
梅田氏は「ここまで人気シリーズを育ててきたテレビ朝日は偉いなというものはあるにせよ、もう少し違うものをそろそろ見せてほしいところもある。あまりに手堅くて、とりあえず何も言うこともなしというところが逆にエンタメとしてはどうなのか」と分析。
木村氏は、ドラマ業界がこういう流れにいってはいけないという危機を感じている。
視聴率の良い人気シリーズが多いテレビ朝日は、「医療ドラマ、刑事ドラマばかりやっていて、シリーズを量産していく。次の予備軍も既にいっぱいある」とシリーズの量産について苦言を呈した。
完全に今回はプライムタイム3分の3を人気シリーズで固めてきたことに対して、「まだ他局が追随していないのが救い。踏み込んでいってしまうと危ないので、頑張って踏みとどまってほしい」と他局への影響も示唆した。
「視聴率のロジックでいうと、シリーズものにいきたくなるところのせめぎ合いだと思う。そこの対局にいるのが関テレ。本当に他局には頑張ってほしい」と木村氏は述べた。

久代アナは、手堅いシリーズものはあまり見ないものの、「科捜研の女season17」は見るという。小さい頃から科捜研の女になりたいと思い、このドラマを見て育った久代アナ。
職業として憧れを抱いて育ってきた。大学生の時に本当に行こうと思ったのだが、募集をしておらず、採用がなかったという。
そこで、採用がかかるまで大学院に行って待つか、アナウンサーになるかの2択だったと久代アナは当時を振り返る。もしタイミングが合ったら、アナウンサーではなくて科捜研の女になっていたかもしれない、という程、憧れを抱いて見ていたという。
吉田氏は、「科捜研の女」の榊真理子さんというヒロインに思いを寄せる人はたくさんいると明かした。
シーズンも長いため、「科捜研の女」も「ドクターX」も「相棒」もまたかと言われることをふまえて、初回に少し頑張る傾向があると吉田氏は分析。
「初回だけ少し今までと違うぞと匂わせるのだが、2回3回からまた同じ。最初の小手先だけというのがテレビ朝日いやらしいなと思いながらも、視聴習慣という形で、『科捜研の女』が染み込んでいるという人はたくさんいる。『相棒』も相棒を変えてもこれだけの人気を誇るということは、そこそこすごいことが行われているなとは思う」と人気シリーズものならではの傾向について分析。

吉田氏は、テレビ朝日には人気シリーズものが多い一方、深夜枠の三浦春馬さん主演「オトナ高校」を注目作として挙げた。
「オトナ高校」は、30歳以上の性経験のない童貞と処女に国家が無理矢理プロジェクトとして性体験をさせようという物語。
そこに引っ張り出されるのが、東大エリート役の三浦春馬さん。上司役の55歳高橋克実さん。そして、エリートのウーマン役の黒木メイサさん。
「これだけの人物が童貞?処女?と皆疑問があるのだが、見てみると面白い。皆クズ。それがとても痛快」と吉田氏は見どころについて述べた。
梅田氏も「SmaSTATION!!」の後枠であるこのドラマについて、「どういう感じでくるのかなと思ったら、こういうぶっ飛んだ。本当に楽しい。サクッと見られる恋愛モノなので、こういうのもありかなと楽しみに見ている」と期待を寄せた。
問題提起のドラマが多い秋ドラマ、それぞれの描き方についてドラマウォッチャーからは様々な意見が出される結果となった。


GUEST
梅田恵子 / 「日刊スポーツ」芸能記者
1989年日刊スポーツ新聞社入社 記者として主に芸能・社会面を担当
ウェブ版の芸能コラム「梅ちゃんねる」連載 脚本家・市川森一作品の大ファン

吉田潮 / ライター・イラストレーター
編集プロダクションを経てフリーに 週刊新潮「TVふ うーん録」など連載
著書に 『産まないことは「逃げ」ですか?』 『TV大人の視聴』 ほか

COMMENTATOR
木村隆志 / ドラマ解説者

 
 

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