新・週刊フジテレビ批評

The 批評対談

夏休み特別企画第4弾「大学生テレビ放談」

DATE : 2017.08.26(土)

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夏休み特別企画第4弾は、大学生のリアルなテレビ視聴の実態を探る。最新の調査では、10代20代ともにテレビの視聴時間が減少。中でもテレビ離れが指摘されているのが、大学生。スマホが常に手元にあるイマドキの若者はどうテレビを見ているのか。ライターの吉田潮氏、博報堂の原田曜平氏を招き、都内の大学に通う8人の大学生と徹底放談した
 原田氏は、テレビついて「若者のテレビ離れといわれて久しい上に、ここ5、6年でSNSが普及。ここ1、2年でAbemaTVやNetflix、Huluといった動画配信サービスが広まり、テレビはいま激戦地帯になっている」とテレビを取り巻く現状を分析。そのなかで、若者のテレビ視聴がどう変化しているのか、企画への興味を語った。

ここから大学生たちに様々な質問が投げかけられていった。
■質問「スマートフォンを持っているか?」
鈴木くん    ○
中村くん    ○
稲井くん    ○
本田くん    ○
横光くん    ○
関さん         ○
宮治さん    ○
大谷さん    ○
やはり、8人全員が○を挙げた。若者にとって、今やスマホは必需品である。

続いて吉田氏からはこんな質問が…。
■質問「一人暮らしをしているか?」
鈴木くん    ○
中村くん    ×
稲井くん    ○
本田くん    ×
横光くん    ×
関さん          ×
宮治さん    ×
大谷さん    ×
一人暮らしは8人中2人。質問の意図について吉田氏は「昭和のおばちゃんからすると、テレビのチャンネル権を争った時代があった」と説明。その上で「今はどうなっているの?」と問いかけた。
これに答えたのは3人の女子学生。
関さん「家族の(生活)時間帯が違うので見たいときに見たいものを見ている感じ。(家族が別の番組を見ているときも)説明して変えてもらいます」
宮治さん「自分の部屋にテレビがあるのでもし同じ時間に違う番組を見たかったら自分の部屋でみます」
大谷さん「母が見ている番組を一緒に見ます。母が見るものは当たりが多くてよくハマりますね」
こうした現状を聞いた原田氏は「親子仲がよくなっているので若者はこれが見たい、親はこれが見たいという世代間ギャップが少なくなってきているから一緒に見やすい状況になっている」
 一人暮らしは2人。その一人稲井くんからは、テレビはDVD専用で地上波の放送を見ることは全くないとの発言が。驚きの声があがったが、西山アナは「これも現実ですよ」と受け止めた。

■質問「テレビ・スマホの1日の利用時間は?」
             テレビ    スマホ
鈴木くん    2~3時間     2~3時間
中村くん    30分            5時間
稲井くん    0時間      6~7時間
本田くん    2時間           4時間
横光くん    6時間           2時間
関さん           2時間          3~4時間
宮治さん    3時間       5時間
大谷さん    2時間           2時間

 スマホよりテレビの視聴時間が長いと答えたのはたった1人…。
 6時間もテレビを見ているという横光くんは「自宅に帰ってから寝るまでテレビをついています。リアルタイムではバラエティ番組を見ていて、ドラマは録画して真剣に見ることが多いです」と視聴時間が長い理由を説明した。吉田氏は「(今の若者は)テレビ離れはもちろん、ドラマは見ないのかなと不安に思ってたのでありがとうっていう感じ」と喜んだ。
 この流れで「ドラマを見ている人は?」という質問に手を挙げたのが中村くん。テレビの視聴時間は30分と1時間ドラマすら見られない長さだが…。「家族と晩御飯を食べているときに大河ドラマとかついていて一緒に見ている。家族とコミュニケーションをとる『ついで』のような感じですね」。食事をすませるとドラマが途中でも自分の部屋へ行くという。それで「30分」。
 テレビの視聴時間「0時間」の稲井くんは「全く見ないです。例えば月9ドラマなどは、ゴールデンタイムに家にいたくないじゃですか。テレビコンテンツ自体は面白いと思います。ネットに流れてるものを見ることはありますがオンタイムで見る必要はない。情報が一番遅いので」とした。
 この発言を受けて原田氏は「スポーツや地震をのぞいてリアルタイムで見る必要がないといわれればそうですよね。逆にいえば、場所と時間を選べるなら見てもいいよということになる。果たして『TVer』で対応しきれているのか」とテレビサイドの課題をあげた。(『TVer』=民放各局が連携して運営する見逃し配信サービス)
 一方、参加者のなかでスマホの利用時間がいちばん短い(2時間)稲井さんは、ショッピングや動画を見る程度。テレビの大画面ではなくスマホの小さな画面で見るメリットについて「姿勢に自由があること」を挙げた。ベッドに寝転んででも動画を楽しめる良さがあるという。スマホには場所を選ばない、姿勢を選ばないといった自由がテレビのモニターよりあることが若者の声からわかってきた。


■質問「利用しているSNSのサービスは?」
鈴木くん    Twitter、Instagram
中村くん    あまり使わない
稲井くん    Twitter、Facebook、Instagram
本田くん    Twitter、Facebook
横光くん    Twitter、LINE
関さん           Instagram、Twitter、Facebook
宮治さん    Twitter、Instagram、Snapchat
大谷さん    あまり使わない
 SNSをあまり利用しないと答えたのは2人。中村くんは「(スマホの利用時間)5時間はほとんど動画の視聴。SNSで情報を収集するよりエンタメとしてのスマホ」とした。その上で、SNSを利用していた過去を明かし「疲れちゃったんですよね。インスタのキラキラ感(が苦手)とかツイッターでつぶやいても誰にも関心を抱いてもらえない」との理由でSNSと距離を置いたという。
 大谷さんも過去にはSNSを利用。しかし「インスタで画像をアップしても『いいね』数が気になりだしてしまってスマホを見る回数が増えてしまった。じぶんがどんどんSNSにハマってるんじゃないかっていう恐怖心から自分でコントロールするようになりました」。
 「いいね」の数は気になる?という質問に、関さんは「気になるか、気にならないかといったら気になります」。宮治さんは「たまに発信して『いいね』をもらえないと、わたしが発信していいのかなと思います」と不安を口にした。本田くんも最近SNSをあまり使わなくなってきたという。
 お笑いコンビ「ルックロック」を組んで芸能活動もしている鈴木くんは主にライブの告知などに利用しているという。また、ツイッターで知り合った芸人とライブを開催するなどの輪の広がりも魅力だと語った。
 この発言を受けて原田氏は「本来、SNSは年齢や地域を超えて人と人がつながることを目的につくられたもの」と前置きした上で「(鈴木くんのように)利用している人と、仲間内で自慢や『いいね』をもらう内輪ツールに分かれている」と分析。後者はいわゆるSNS疲れにつながっているという。

■質問「スマホで利用している動画サービスは?」

鈴木くん    YouTube
中村くん    YouTube
稲井くん    YouTube
本田くん    YouTube 、Amazonプライム・ビデオ
横光くん    TVer、U-NEXT、Hulu、Amazonプライム・ビデオ
スカパー!オンデマンド、AbemaTV、GYAO!
niconico、YouTube、torne、LINE LIVE、
日テレTADA、TBS FREE、テレ東動画、FOD、SHOWROOM
関さん           dTV、Netflix、Amazonプライム・ビデオ
宮治さん    YouTube
大谷さん    テレビ局の動画配信サービス

 特筆すべきは、テレビ大好き横光くん。スマホには大量の動画サービスアプリを入れていて月々の利用料金は1万円ほどになるという。
 大谷さんの答えは「テレビ局の動画配信サービス」。TVerなどの見逃し配信サービスではなく、過去のドラマを探して気に入ったものがあれば見るのだという。最近はNHKの「洞窟おじさん」を視聴(リリー・フランキー主演)したとか。
 本田くんはAmazonプライム・ビデオ。主に洋画を視聴。音楽を聴けるのも魅力だという。
 大谷さんをのぞいて7人が挙げたYouTube。中村くんはユーチューバーやヒップホップバトルをよく見るという。お気に入りのラッパーに「R-指定」の名をあげると横光くんと大谷さん以外は一様に頷いた。若者の間には広く知れ渡っているようだ。
 稲井さんは最近発信する側のユーチューバーに。テレビやスカパー!などでできないテーマや時事ネタに関連した動画がテレビより早く出てくるので若者が熱くなると魅力を語った。

■質問「テレビに信頼感を持っているか?」
鈴木くん    ○
中村くん    ○
稲井くん    ○
本田くん    ×
横光くん    ×
関さん           ×
宮治さん    ×
大谷さん    ○

 結果は4対4。「信頼していない」という学生が半分もいた。
その1人、関さんは「バラエティを見ていて、これ本当?と素人目線でも感じたり、流行でもこのファッションみんなやってないのにな、と思うことがあります」と理由をあげた。
 宮治さんはTBSの番組(TBSで7月19日に放送された『世界の怖い夜』で取り上げた心霊写真が合成無許可で使用されたのはとネットで話題に)で偽造があったと話題にしたツイートを例にあげた。このツイートは何万もリツイートされていてその数の多さを見て(偽造の情報は)正しい、テレビは偽って盛ってる部分があるのかなと感じたという。これに対し原田氏は、1万リツイートされていたとしても、数字で判断するのは間違いだと指摘。実は、TBSは合成していないと公式にコメントを発表。その情報を宮治さんは知らなかったというと、原田氏はSNSのフェイクニュースを検証せずに信じ込んでしまっている若者がいま増えているのは問題、とした。
 テレビが大好きのはずの横光くんも「信頼感」は×。その一つの例として「警察24時」モノをあげた。逃走車を追跡するパトカーを、まるで通りかかるのを分かっているようにカメラが待ちかまえていることがあり、リアリティがないと感じるという。これを聞いた原田氏は「ユーチューバーが増えて若者はよりリアルな動画に触れている。テレビでリアルに見せる番組は嘘くさく感じちゃうのかもしれない」と分析した。
 本田くんは「(テレビ)の報道をツイッターでみると、ちゃんとした動画が残っててうまく編集して偏向報道していたものだったことがわかり不信に思ったことがあった」と信頼感を持っていない理由を説明した。
 一方、テレビを一切見ない稲井くんはテレビを信頼しているという。「コンテンツとしての信頼性は高くて一番面白いと思う。なんだかんだいって。」と笑いを誘った上で「SNS上に流れてくるのもテレビの話題だったりする。きちんとした正しい情報を伝えてくれて一定の信頼性はある」とした。
 中村くんは、SNSで1人の人が発信していることより、ニュース番組などで見た評論家や専門家が言っているほうが信頼できるという。
 鈴木くんは「ヤラセとか言われたりするが、信じたほうが幸せかなと思います」とした。これに対し原田氏は「信頼できるものより面白いものに関心を持つ世代。だから若い世代には信頼されることが必ずしも良いことか分からないですね」と分析した。

■質問「好きなテレビ番組は?」
鈴木くん    水曜日のダウンタウン
中村くん    大河ドラマ、マツコの知らない世界
稲井くん    (昔の)ロンドンハーツ
本田くん    世界の果てまでイッテQ
横光くん    モノクラ~ベ
関さん           家、ついて行ってイイですか?
宮治さん    アメトーーーク
大谷さん    ドラマ中心(「過保護のカホコ」「僕たちがやりました」)

 8人がそれぞれ違う番組を挙げた。大谷さんはドラマ中心に見ていて日本テレビ「過保護のカホコ」とフジテレビ「僕たちがやりました」をピックアップ。必ず録画して2、3回見ることもあるほどのお気に入りだという。
 「世界の果てまでイッテQ」は本田くん。「小学生のころからイッテQだけは家族で見ていた。スタッフが編集を駆使して笑いを取りに行くのが好きで見続けている。年齢関係なく笑えるのがいいのかな」とした。
 稲井くんは「(昔の)ロンドンハーツ」とあえて(昔の)をつけた。その理由を「昔は素人カップルの修羅場とかガチでケンカはじまって撮れなくなるみたいな。今はできないと思うんですけどそういうのが面白かった」とした。
 テレビ大好き横光くんは「モノクラ~ベ」。マニアックな番組を挙げた。モノクラ~ベはBSスカパーで日曜午後9時から放送中で商品を徹底比較するバラエティ番組。「スカパー!ということもあってスポンサーとか関係なしに、視聴者が思っていること、痒いところをついてくれる」とあまり知られていない番組の魅力を熱く語った。
 関さんはテレビ東京「家、ついて行ってイイですか?」。「一人一人にいろんな人生があるんだなと分かって、すごくリアル。がんばって生きていこうと思えます」とした。
 お笑いコンビを組む鈴木くんはTBS「水曜日のダウンタウン」。「自分にない発想があったり、バカバカしい企画がいっぱいあって、映像としてまとまってコンパクトに見られるのが楽しい」とした。フジテレビで出演したい番組はあるか?聞かれると若手芸人の発掘バラエティ「新しい波24」をあげた。
 中村くんはNHKの大河ドラマと「マツコの知らない世界」。「マツコさんと素人のやり取りにヤラセ感がぜんぜんない」とお気に入りの理由を語った。




そして最後の質問
■「これからどんな番組を見たいか?」

鈴木くん    SNSと連動した番組
中村くん    今までと違うぞ感
稲井くん    予定調和じゃないリアルな番組
本田くん    昔のバラエティのような破天荒なもの
横光くん    ・カメラの最新事情 ・モノクラ~ベのようなもの
関さん           ココリコミラクルタイプ
宮治さん    好きな芸能人+視聴者参加型のバラエティ番組
大谷さん    テレビの可能性を感じる番組

すでに放送を終了したバラエティ「ココリコミラクルタイプ」を見たい番組にあげたのは関さん。「幼いながらに身近なあるある話が再現VTRであってすごく楽しかった。気軽でいつ見てもいいし」とこれから見たい番組にあげた。
 宮治さんは、好きな芸能人+視聴者参加型のバラエティ番組。TBSのドラマ「特上カバチ」で、エンディングが生放送になり櫻井翔くんと電話で話せるコーナーがあったという。好きな芸能人と話せるチャンスがあれば、録画ではなくリアルタイムで見たくなるとした。
 大谷さんは「テレビの可能性を感じる番組」。テレビに代わるものが出てきているので、テレビだからこそできる番組を見てみたいという。
 テレビ大好き横光くんは「カメラの最新事情」と「モノクラ~ベのようなもの」。「新・週刊フジテレビ批評」でカメラの最新技術を紹介するコーナーなどもしっかりチェックしているという。
 本田くんは「昔のバラエティの破天荒なもの」。ビートたけしさんやとんねるずがやってた破天荒なバラエティに魅力を感じているという。原田氏は「ユーチューブは放送法もないし、法律に引っかからなければやりたい放題じゃないですか。(テレビは)ちょっと規制があるだけで(番組作りに)制約ができてしまう。頃合いが難しい」とテレビの現状を語った。
 「予定調和じゃないリアルな番組」としたのは稲井くん。「フェイクニュースに惑わされないくらいの、テレビの圧倒的な取材とか報道とかみんな見たがってると思う」とテレビの持つ力に期待を寄せた。
 中村くんは「今までと違うぞ感」。「マツコロイド」や「フリースタイルダンジョン」など前例のない番組をやると、テレビが新しいことをやってると注目せざるをえない。ユーチューブで新しいことをやっても当たり前だが、テレビで新しいことを見るのは衝撃だったという。
 最後に、吉田氏は「ふだん大学生と接する機会がないのですごいエネルギーをいただいた。ドラマ好きがいてよかった。そんなにテレビが嫌いではないことがわかった」と感想を述べた。
 原田氏は大学生の話を聞いて、若者向けのコンテンツが圧倒的に少ないと感じたという。テレビ局は「TVer」などの届け方に意識を向けてきた。しかし、高齢化社会になって若者向けの番組に注力しなくなった現状があるのではと分析。その上で「(若者は)ユーチューバーなどの素人動画に慣れてる分、潤沢な資金を使ってすごいスタッフ、すごいカメラを使った(テレビの)コンテンツはよりコントラストを感じやすくなっている。あとは若い人の心に届く発想をどれだけ取り入れられるか」とテレビのこれからの可能性に期待を寄せた。


GUEST
稲井大輝(東京大学経済学部3年)/大谷萌恵(中央大学総合政策学部3年)/鈴木秀明(駒沢大学経営学部4年)/関 瑞樹(立教大学コミュニティ福祉学部4年)/中村麻人(法政大学文学部3年)/本田泰成(立教大学経済学部1年)/宮治 舞(法政大学社会学部4年)/横光佑亮(日本大学芸術学部2年)

COMMENTATOR
原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所)/吉田 潮(ライター)


 

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