新・週刊フジテレビ批評

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スポーツがよりワクワク!? VR最新事情

DATE : 2017.03.04(土)

CATEGORIES : | ハテナTV | 技術・美術 |



仮想世界や実際の風景の中にいるかのような体験ができるVR(バーチャル・リアリティ)技術。その魅力は家庭用ゲーム機やアミューズメントスポットなどで体験できる。しかし最近はスポーツの世界でもVR技術の魅力を体験できるようになりつつある。そこで今回は日本大相撲トーナメントと、東京マラソン2017というスポーツイベントに注目し、VRがどう活用されているかを取材した。

VRというと大きな機械が必要だというイメージがあるが、家庭でも簡単に見られるVRのシステムがある。必要なのはスマートフォンと専用のゴーグルだけ。このゴーグルは紙製で、インターネットなどで500円ほどで購入できる物。自分のスマートフォンをこのゴーグルにセットして後は覗くだけ。すると360度カメラで撮影した場合は、スマートフォンをどこに向けてもVR映像を見ることができる。

進化し、手軽に見ることができるようになったVR技術が活用されていたのが、2月5日に両国国技館で行われた日本大相撲トーナメントだ。毎年フジテレビが生中継している恒例のイベントで、今回は稀勢の里が横綱に昇進後、初めて国技館で土俵入りと取組を行うことで話題を集めた。
そしてもう1つ話題となったのがVR生中継。テレビだけでなく、インターネットで日本初のVRスポーツ生中継が行われた。
力士により近い場所にVR専用カメラを3台設置。まず土俵のすぐ下の最前列に設置した1台は前方向用で、土俵を中心に180度移すことができる。三脚を立てて撮影する地上波用のカメラとは違い、1眼レフカメラくらいのコンパクトサイズで、しかもカメラマン不要の無人カメラだ。
さらに東西の花道にVRカメラ各1台を設置。こちらは360度撮影可能でもちろん無人カメラ。力士が花道を通る様子などを自分の好きな角度で見ることができる。
その3台の映像をスイッチングで切り換えて本線としてネットに送り出す。それにより、普段地上波で見る映像と比べ、広い画角で生中継が見られるという試みだ。
実際の映像を見ると、目の前に迫る土俵はまるで砂かぶり席で取組を観戦しているような感覚だ。さらに自分の見たい方向にスマートフォンを動かすことで、観客席や普段は見られない場所の映像など、テレビ中継にはない臨場感が体感できる。

動画サイトに配信された映像をスマートフォンで楽しんでもらうこの企画。地上波では幕内トーナメントの中盤からしか見られないが、ネット配信では臨場感たっぷりの映像を十両の1回戦から生中継。全取組の様子をVR体験できた。
そしていよいよ今大会の注目・稀勢の里と宝富士の一番。危なげなく寄り切りで稀勢の里が勝利し、勝ち上がった。この一番をVR配信で見ると、寄り切られた宝富士がすぐ目の前まで、テレビ中継にはない迫りくる感じで驚かされた。
稀勢の里の取組で、配信の累計再生回数は一気に上昇。この日のVR生中継の結果は、最大同時視聴者数1082人、累計で延べ16542回、このネット中継が視聴されていた。
今回の生中継が今後のVRコンテンツの可能性をどう広げていくのだろうか。フジテレビVR事業部の北野雄一氏は、「今回、両国国技館という普段あまり行けない場所、しかも土俵正面の砂かぶり席に、まるでその場にいるかのような気分で相撲を楽しめるという体験を提供できた。遠いところに映像だけでなく、“体験"を届けるということが本当に実現できたのが、一番の意味だと思っている」と語った。

スポーツの世界で活用されるVR技術は相撲だけではない。2月26日に行われた東京マラソン2017では、今回コースが新しくなるということで、VRを利用した新たな試みが行われていた。
2月23日、東京ビッグサイトを訪れると、東京マラソンの出場受付をしに多くのランナーたちが続々と集まっていた。こちらでもVRの映像体験ができるということで、その様子を久代アナがレポートした。
本番3日前から前日まで開かれたこのイベント、『東京マラソンEXPO2017』。東京マラソンを走るランナーがナンバーカードを受け取り、スポンサーなどの出展者がランナーのために提供するサービスや情報を得ることができる。
ブースを見てみると平日にも関わらず大勢のランナーたちが訪れていた。その中からランニングウェア姿の女性・浅井裕美さんに協力していただき、実際に走るコースをVRで体験できるブースを取材することに。
ここでは、360度カメラを車に取り付けて実際にマラソンコースを走って撮影した映像を、VR映像として下見ができる。早速ゴーグルをつけてスタンバイ。

映像が始まり、コースを解説するのはフジテレビ批評でもおなじみのスポーツジャーナリスト・増田明美さん。そしてマラソンコースが映し出された。
道路上を走っている映像から、見る方向を変えるとそれに従って映像も移動する。走りながら周りがどんな景色なのか360度で確認できる。
さらに増田さんが、ランナーとして気をつけるポイントやコース上の名所、ランドマークなどの情報を紹介してくれる。浅草の雷門、銀座の中央通りの紹介の合間に、増田節満載の解説とアドバイスも挟み込まれる。最後は今年から新たにゴール地点となった東京駅付近まで。あたかも実際にコースを走っているかのような体験ができる。

ただ、この映像は車で走行しながら撮影したために、残念ながらスピードがちょっと速くなっている。また、この会場で見られるのは展示用なので約1分の映像。しかし実際の映像は約30分で、スタートの新宿からゴール地点の東京駅まで、すべて360度で体験することができる。
取材に協力してくれた浅野さんは、「ここまでちゃんと下準備してできる大会はなかなかないので、イメージトレーニングできそう。試走できた所は景色が分かるが、試走できなかった所もこれで補える」と感想を述べた。
続いて、一緒に完走を目指している水地さんご夫妻にも体験してもらった。お二人とも初めて見るVRの世界にのめり込んでしまい、展示用の1分では物足りなかったようだ。
さらに御年81歳でエントリーした中野陽子さんにも体験していただいた。この中野さん、75歳〜79歳の女性カテゴリーで3時間53分42秒というマラソンの日本記録保持者。VRを体験後、「大体分かった。カーブとか直線とかは何となく掴めた」と語った。
VRを体験した男性外国人ランナーは、「ランニングマシンにつけて、ブルートゥースを合わせれば、北海道でも沖縄でもエアコンや暖房の中で東京マラソンを体験できる」と感想を述べていた。
今後、このVRはどのように展開していくのか。フジテレビVR事業部の澤田篤宏氏は、「今回の大会で車の先頭車両にカメラをつけ、ランナーと同じスピードで新しく映像を撮ろうと思っている。それによってランナーの走る目線でより近く精度の高い形で提供できると思うので、今後はそれを皆さんに楽しんでいただきたい。2018年の大会はフジテレビの中継なので、フジテレビのオールミックスしたメディア配信として、VRも参加していきたいと考えている」と語った。

ちなみにレース終了後、取材に協力していただいた方たちからコメントをいただいた。
浅井裕美さんからは、「VRで見た辺りを走った時は、『あ、VRで見た場所だ!』とすぐに分かった。試走で走っていなかった場所なので、事前に体験できて役立った」との声が。また、水地豊さんからも、「VR映像は結構高速で流れるものだったが、意外にイメージが残っていたので、東京マラソン初体験の自分も安心して走ることができた。今後のVRはランナーと一緒のスピードのレース実写であると、さらに良いと思う」との意見が寄せられた。


コメンテーターの原田曜平氏は、
「我が家でも紙製のゴーグルを使って、子供がすごく楽しんでVRを見ている。スポーツや走る世界など、日常にどんどんVRが根付いてきてやはりすごく面白いなと思った。正直、マラソンはあまり走りたくないが、トップランナーのスピードを体感したり、沿道の街の風景は見たいという願望はあるので、こういう怠惰でスポーツに関心のある人間にもピッタリだと思う」とコメントした。

 

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