新・週刊フジテレビ批評

The 批評対談

2016年 フジテレビはどこへ向かうのか?

DATE : 2016.01.09(土)

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2015年の民放各局視聴率は、前年に引き続き日本テレビがゴールデン、プライム、全日の三冠を獲得。フジテレビはゴールデン、プライムで4位、全日では3位という結果に終わった。様々なメディアでもフジテレビの視聴率低迷に注目が集まる中、『トリビアの泉』『ネプリーグ』など数々の人気番組を手掛けてきたフジテレビ宮道治朗編成部長に2016年の展望について聞いた。

昨年の視聴率の結果について、「視聴者の評価がこういうことだったと真摯に受け止めたい。非常に残念ではあるが、逆にやる気が湧くところでもある」と語る宮道部長。昨年6月に編成部長となった彼は7月以降の番組編成に関わってきたが、「当たり前のことだが、我々の都合ではなく、視聴者のことだけを考えてお茶の間が楽しくなるように考えた」と昨年の編成方針を語った。
かつてとは大きくライフスタイルが変化した現在においても宮道部長は、「おこがましいかもしれないが、もう一度、我々の番組をきっかけにして親子の会話が生まれたり、家族そろって番組を見るというような、お茶の間の空間を演出したい」と述べた。さらに、「若い人に強い局だと言われた時代もあったが、それはあくまでも結果論。作り手は“どの世代に何を"と言うことよりも、とにかく自分が面白いと思うものを、信念を持って作り、常に全世代に響くと信じてやってきた。それは現在も常々考えていることであり、フジテレビらしさというのは、作り手の信念の結果だ」と語った。
「バラエティでも恋愛ドラマでも、本当に面白かったら世代を選ばないのではないかと思う」と語る宮道部長は、「テクニックとして視聴者の“マーケティング"は絶対に必要だが、あくまで判断材料の一つ。それ一辺倒になったり、頭でっかちになると番組が中庸化してしまう。今、どこの局も似たような番組が多いという声を聞くが、これはテレビの未来にとって大変良くないことだと思う」と分析した。
さらに視聴率重視の現状についても、「月9『恋仲』は決して視聴率は良くなかったが、大きな話題にもなり、若い人たちに深く刺さった番組だったと思う。一方で年配者からも“青春時代を思い出した"“胸がキュンとした"という声も数多く寄せられた。視聴率が良いに越したことはないが、ある特定の世代に深く突き刺さった、その深さというものは絶対に将来のフジテレビに対する期待値に繋がっていく」と述べ、「視聴率ももちろん判断材料の一つではあるが、中身がやはり大事。特に今、フジテレビのステーションパワーが落ちている中で、数字でそのまま判断してしまうといい物を失ってしまうことになるので、その辺の目利きが一番我々に求められるところ」と語った。
また、フジテレビ黄金期を担ってきた人材が偉くなり、それに続く人材が育たないという現状については、「かつてフジテレビは作り手の顔が一番見えるテレビ局と言われた時期があった。それは素晴らしいことだが、それに続く若手が成長しづらいという状況もある。だが年月が経って最近は若手でいい人材が育ってきている」と述べた。
今年、2016年の編成方針について宮道部長は、「やはり“自分たちが面白いと思うものを信じる"ということと、“視聴者は我々が思っているよりもずっと目が肥えている"ということ。それと、世代で区切るよりも気持ちの若さとか気持ちがアクティブである人たちに対して、“自分たちがどういう新しい刺激を送れるか"ということ。これがテーマだと思っている」と述べた。また、若者のテレビ離れが叫ばれる今、高齢者向けのものを作った方が良いのではないかという意見に対しては、「高齢の視聴者を侮ってはダメ。気持ちの若い人はたくさんいると思うし、やはり目が肥えている。また、“いいものはいい"と評価してくれ、一度いいと思ったら長く見てもらえる。やはり視聴者を信じて、自分たちが思う面白いものを送るということに徹底していきたいと思う。高齢者だからと決めつけて番組を作るというのは良くない」と語った。
1月2日にNHKで放送された『新春テレビ放談』でも、フジテレビの不振についての話題が目立ったが、宮道部長は「褒めてもらうのも貶してもらうのもありがたい。一番怖いのは話題にも上らず無関心に扱われること。お叱りを受けている間が華と思って、そのうちに挽回していきたい。低迷している今だからこそできることというのは、きっとたくさんある。頑張っていきたいと思う」と締めくくった。


GUEST
宮道治朗 / フジテレビ編成制作局総合編成センター編成部部長
1968年生まれ 早稲田大学商学部卒、91年フジテレビ入社
以来、20年間バラエティ番組制作に携わった後、2011年編成制作局編成部企画担当部長、12年バラエティ制作センター部長、14年コンテンツ事業局コンテンツ事業部部長、15年7月現職。
バラエティ制作時代の主な担当番組
AD「なるほど!ザ・ワールド」「クイズ!年の差なんて」「ものまね王座決定戦」
演出「ハッピーバースデー!」「力の限りゴーゴゴー!」「ザ・ジャッジ〜得する法律ファイル〜」
チーフプロデューサー「ネプリーグ」「ホンマでっか!?TV」「トリビアの泉」

COMMENTATOR
速水 健朗(ハヤミズケンロウ) 編集者・ライター


 

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