新・週刊フジテレビ批評

The 批評対談

人気脚本家が考えるドラマヒットのカギ

DATE : 2015.10.03(土)

CATEGORIES : | The 批評対談 | ドラマ |



10月の改編期を迎え、各局とも新ドラマが続々とスタートするテレビ界。しかしドラマ全体ではかつてのような大ヒットが生まれにくくなっているという指摘もある。今回は『HERO』や『海猿』、『ガリレオ』、さらにNHKの『龍馬伝』などのヒット作を手掛けた人気脚本家・福田靖氏を迎え、ドラマの現状と今後の展望について聞いた。

口述筆記という独特のスタイルで執筆し、規則正しい仕事時間を守っている福田氏は、「口述筆記の方がきちんとオン・オフを分けられる。連続ドラマは長丁場なので、コンスタントにきちんとスケジュールを消化していく方が結果的に楽になる」と述べた。
さらに「脚本は小説と違って話し言葉なので、一度自分の体を通すことで違和感のある台詞、説明台詞などは使わなくなる。口述筆記のおかげでテンポの速い会話が生まれているのかもしれない」と分析する福田氏。また、ワイドショーやニュースを見たり家族と過ごすなど、オフタイムの普通の生活を大事にしていると明かし、「知識や情報ではなく空気感を大切に、視聴者の目線とズレないように心掛けている」と述べた。
去年、15年ぶりに『HERO』の続編を執筆した福田氏は、「時代の変化を気にしても仕方ないし作風を変える訳にもいかない。自分が書ける、発想してくるものは自分の中からしか出て来ない。だから自分自身が15年の時間を経て、今、この時代にいるということしかない」と語った。また、自身の目指すドラマについては、「マニアックでなく、子供から大人までみんなが楽しめる普遍的な物を作りたい」と述べた。
アメリカでは業界の指標として、視聴者の実数や録画率なども取り入れられ、評価の環境も変わってきているが、日本では未だに視聴率が唯一の指標となっている。
「自分自身は視聴率で一喜一憂することはないが、一方で全体として見ると視聴率が落ちていることをどうでもいいと思ったらダメだと思う」と述べた福田氏は、『HERO』シーズン2に対しても「手ごたえがあると思う反面、実際に視聴率が悪ければ現場の士気が下がってしまう。そうして自分たちの作っているモノが本当に正しいのか不安になってくる。視聴率だけというのは罪なことだと思う」と述べた。
フジテレビのドラマに対しては、「かつての黄金時代を築き上げた才能ある人々が頑張りすぎた。本来なら10年で世代交代すべきところが20年続いており、結果的に次の世代が育たずにいる」と分析する福田氏。さらにオリジナルが減って原作モノが増えている状況に対しては、「決していいこととは思えない。制作者が原作に頼るばかりで、オリジナルのドラマが作れない。発想してもそれを全員にコンセンサスを得ることができないという状況があると思う」と述べ、さらに自らの過去の経験を例に挙げ、「今は権利意識が強く、原作者の立場がとても強いので、“変えるな"と言われれば従うしかない。そうなると脚本家は考えなくなり、結果的に育たなくなる」と現状を憂いた。
最後に、再び元気なドラマ界を作るためにどうすべきか、という質問に対し、福田氏は、「人材が集まること。マンガ界があれだけ活況を呈しているのは、やはりそこに人が集まるから。ドラマ界も成功した時のドリーム感をもっともっと打ち出していければ、と思う」と締めくくった。


GUEST
福田靖 脚本家
1962年生まれ。劇団主宰を経て、1995年にドラマ「BLACK OUT」で脚本家デビュー。
以降、フジテレビのドラマ「救命病棟24時」、「HERO」、「海猿」、「ガリレオ」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」、テレビ朝日「DOCTORS〜最強の名医」や、映画「海猿」シリーズ、「HERO」、「容疑者Xの献身」、「真夏の方程式」などヒット作を生み続けている。


COMMENTATOR
速水 健朗(ハヤミズケンロウ) 編集者・ライター


 

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