新・週刊フジテレビ批評

ハテナTV

バレーボール中継のスロー再生って、どう作っているの?

DATE : 2014.08.23(土)

CATEGORIES : | ハテナTV | 技術・美術 | スポーツ |

8月20〜24日に行われた「女子バレーボールワールドグランプリ」決勝ラウンド。その模様を会場さながらの臨場感で伝えているのがバレーボール中継だ。フジテレビでは1970年代に始まった春高バレーやワールドカップバレーなど40年以上に渡り中継をしてきたが、その中で様々な技術が取り入れられてきた。
メグカナ旋風で沸いた2003年にはネットにマイクを埋め込み、スパイクの音が拾えるようになり、また2007年には選手や監督の表情を分割画面で伝えたほか、ハイスピードカメラが取り入れられた。バレーボールの担当プロデューサーは「会場でしか味わえない臨場感をどうにかしてテレビで伝えられないかといつも気にしながらいろんなことにチャレンジしている」と語った。
そんな臨場感をより強く印象づけるために中継で欠かせない技術が、スロー再生だ。バレーボール中継はとにかくスロー再生が多く、ポイント後には必ずと言っていいほどスローが流れる。20日に行われた日本対ロシア戦ではスロー再生が143回流れた。しかもポイントが決まってからスローが流れるまでの時間はわずか5秒ほど。どうやってスローは出しているのかを調べた。
試合会場の外にある大型バスほどの大きさの中継車。その中には、たくさんのモニターが並び、試合を撮っている14台のカメラの映像が映し出されている。その映像から放送する画面を選ぶディレクター2人と画面を切り替えるスイッチャー2人が乗っている。そして、スローを作る「スローマン」と呼ばれる人たち5人がいた。5人は、バレーボールだけでなく、あらゆるスポーツ中継のスローを担当する、いわば「スロー職人。」名前はスローマンだが、仕事はとてもスピーディで、各スローマンの前にはモニターがあり、5人はそれぞれ違うカメラの映像をスローにしていた。実際、どのようにスロー再生を出しているのか?新鍋選手のスパイクで、3つのスローが出されたシーンを検証した。まず一つ目のスローはコート全体が見える映像。このスローは、1人のスローマンが4つのカメラの中から選んでいた。さらに手元のレバーを使い、手動でスローのスピードを調節して出していた。プロならではのテクニックがあった。そして、2つ目は、迫力あるスパイクシーン。こちらは、スーパースローと呼ばれる映像を使用。選手をゆっくり、綺麗に見せることができるものだ。スーパースローを出すのにもポイントがある。「映像がきれいなのですごく長くなってしまいがち。どこから見せるのかが一番重要だ」とスロー担当チーフは語った。2つ目のスローではスパイクの直前から得点が決まった後の笑顔まで、5秒間が使われていた。そして3つ目には、控え選手のリアクションのスローが使われた。
なぜこの3つのスローが選ばれたのか?その裏にはセッター以外、全員で攻撃をしかける新戦術を見せたいという意図があった。ディレクターは「一斉に選手が動いているのがわかる広い映像、その後に決めた選手のプレーを入れて、最後に自分たちの戦術が上手くいったと喜んでいるシーンを表現したかった」と語った。バレーボール中継にはスローのひとつを見ても、スタッフのこだわりがいっぱいつまっていた。
ジャーナリストの江川紹子さんは「瞬時に選んで良いものを出す。2時間以上の試合になることもあるが、それをずっと持続する。これは大変な仕事だなと思う。テレビは技術の進化はもちろんだが、それを支えている人間がいるから出来ていることを改めて思った」とコメントした。
 

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