新・週刊フジテレビ批評

テレビウィークリー

テレビのインタビューは「顔出し」か「顔なし」かについて検証

DATE : 2014.07.05(土)

CATEGORIES : | テレビ ウィークリー | メディア | 報道・情報 | 放送倫理 |

先月9日、BPOは放送人権委員長談話を公表し、「顔出しインタビューを原則とするべき」とテレビ局に要望した。これに対し様々な声が上がり議論を呼んでいる。視聴者、テレビ制作者、BPOに取材し検証した。街の人々にテレビのインタビュー取材を受ける事について聞くと、積極的に顔出しで応じると答えた人がいる一方で、場合によっては(事件、プライベート、政治関係などのインタビュー)顔を出したくないという人もいた。そして「反響・反応が怖い」「家族への影響を恐れる」「ネットで切り取られて拡散するのが嫌」などとインタビュー取材の影響を懸念する声があった。BPOでもその傾向を捉えていた。また街の人に顔なしインタビューを見てどう思うか聞くと「怪しく思ってしまう」「どこまで真実なのか」と不信感を抱く人も多く見られた。その一方で、談話ではプライバシーなどの保護は徹底するよう求めている。では、実際にテレビ番組を作っている制作者はどう考えているのか、報道局社会部のデスクは「実名報道が基本。一方、取材に答えたことで危害が加えられることなどが想定される場合は必ず相手の意向を確認し、危険性の説明もする。そして実名報道の重要性も説明する。その上で実名報道か匿名報道か判断する」という。さらに、最近増えている傾向として「意向を確認する前に顔や名前は勘弁してほしいというケースが非常に多い。しかし、その人でしか知りえないことは匿名でも重い証言だから、取材して放送することはある。」と答えた。さらに、個人の内面まで描くドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーは「人間の心の動きを画面に映し出すことを大切にしているので、人の顔の表情が大切。取材対象者には時間をかけて、テーマやメッセージの説明をして理解してもらう。一方で、リスクが取材対象者の想像を超えることもあるので、責任が重大だと思うし、十分に配慮する」と答えた。BPO談話では「テレビが顔出しを率先することで、行き過ぎた社会の匿名化に注意を促すことができる」とも指摘。これに対し、記者経験がある中央大学の松野良一教授は「社会の匿名性が進んできたのはネット時代になって、防衛手段として人々は顔なしでインタビューに答えだした。テレビ局がどんどん顔出しインタビューを進めれば、社会の匿名性がなくなるかというと違うと思う」と答えた。今回の談話には、テレビ局だけでなく、一般の人にも問題意識を持って欲しいと言う意図があると言う。BPO人権委員会の三宅委員長は「議論を湧き立たせて、自分たちの社会がどこまで情報が自由に流れて、どこまで名誉、プライバシーが保護されるのかという事を取材対象者、見る側、取材・放送する側、皆がこの談話をベースによく考えてもらいたい」と話した。コメンテーターの批評家宇野常寛氏は「昔だったらテレビだから仕方がないということが、今は通用しなくなっている。編集権をテレビが持っているからとふんぞり返ってきたことに対して、ネットを中心に不満がたまっていると思う。なので、テレビが視聴者にどう信用されるのかということに対して根本的に改めていかないと、こういう問題が小さいところで次々に出てくるのではないか」とコメントした。

 

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