新・週刊フジテレビ批評

クリティックトーク

新聞スクープの舞台裏と調査報道

DATE : 2013.10.19(土)

CATEGORIES : | Critique TALK |

朝日新聞特別報道部の記者、青木美希さんは、「手抜き除染」報道で中心メンバーとして参加。今年の新聞協会賞を受賞した。最初に新聞協会賞を取った「手抜き除染」について解説した。
原発事故で放出された大量の放射性物質は周辺の山林や住宅地に積もっていて、これを取り除くために国は大手ゼネコンなどに作業を発注している。そこでは細かい作業ルールが決まっているが、それが守られず、取り除いた土や枝葉、洗浄した水を川などに捨てている事実を突き止めた。
青木さんは「そもそも国が2年間で除染を全部終わらせるという無茶な計画を
していた。早く終わらさないといけないことで現場に指示があり、手抜きが横
行した」と背景を説明した。
取材を始めたきっかけは、福島の事故のあと中々取材ができなくて忸怩たる思いでいた。その年の6月あたりから福島での取材が始まる。原発事故を伝えようと考えた。「そのためには中で働いている人の話を聞こうと思った」青木さんは、朝日新聞の特別報道部にいる。デスクを入れて約30人体制で取材に当たっている。取材班は福島にこまめに通い、原発作業員の取材を続けた。
原発で作業した作業員らは、そのまま、除染作業に従事する人もいたので、除染取材に進んでいく。
「除染の作業員の取材が徐々に増えていって、除染作業員の危険手当が業者に中抜きされて本人に渡ってないとう話を聞いた」
それが記事になった。そして「手抜き除染」のスクープが出る。
これまでと違い、動画による撮影が行われて、配信もされた。
「証拠の力が高い動画を使うことにした、写真だけでは否定される恐れがある。
証拠能力の高い動画を使おうと決断した」と背景を説明した。
取材班は、記者4人が計130時間、除染地域に潜入し、13箇所で「手抜き除染」を確認。うち11箇所で撮影に成功した「早く証拠を押さえたいということで、映像取材は準備する時間もなかった」という青木さんは、調査報道に携わる現場の記者としてこう言った。
「ネットが広まり、いろんな人が発信できるようになった。いろんな情報が氾濫している。その中で新聞というメディアの信頼性はトップだ。情報が氾濫する世の中だからこそ、新聞の役割は重くなっている。また調査報道は、権力を監視するシステムとして、重要なツール。これはネットでは難しい。新聞の役割はさらに強く求められていくと思う」


■ゲスト
青木美希 あおきみき(朝日新聞 特別報道部記者)

■プロフィール
1997年 北海タイムス入社
1998年 北海タイムス休刊、北海道新聞入社
旭川と札幌で勤務、社会や政治を取材。北海道警裏金問題(2003年11月から約1年のキャンペーン報道)など手がける。
2010年9月、朝日新聞入社 東京本社社会部
社会部から2011年9月に特別報道部へ。
 原発事故検証企画「プロメテウスの罠」などに参加。
2013年 特別報道部の「手抜き除染」報道を手がける。取材班は新聞協会賞を受賞した

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