新・週刊フジテレビ批評

クリティックトーク

開局1カ月で見えた 「NOTTV」現状と課題

DATE : 2012.04.28(土)

CATEGORIES : | Critique TALK |

今月1日、日本初のスマートフォン向け放送局「NOTTV」が開局した。民放各局とNTTドコもが協力して行うこの放送局では、月額420円で3つのチャンネルを視聴することができる。また、その番組の6割以上が"生放送"という独自の番組ラインナップも、今までのテレビとは違う"新しいテレビ"として注目されている。その立ち上げの経緯について小牧氏は「10年かけてアナログ放送から地デジ放送への移行が完了した際に、アナログ放送用に使っていた"空いた電波帯域"をどのように有効利用するかと考えた答えがモバイル機器向けの放送だった」と語った。また開局から1カ月の現状について「どんな放送もたいてい"1つ"のチャンネルからスタートするが、NOTTVはいきなり3チャンネルから始まっている。バタバタの状況だが順調な船出だ」と語った。

今回、番組ではNOTTVの現状を見るため、制作現場、ネット上の声、専門家の評価という3つの側面から取材。その中でいくつかの課題と可能性が見えてきた。まず制作現場。「notty★live7時間」の生放送の様子を見ているとツイッターで寄せられた視聴者からの声を積極的に番組内で紹介していた。これは開局前からNOTTVの特徴の1つと言われて来た"テレビとソーシャルメディアの連携"。しかし開局から間もないこともあり、ツイッターを通しての視聴者とのやりとりの数は、まだまだ少ないというのが実情だった。次にネット上での反応。mmbiが実施しているモニターキャンペーンの利用者がどんな感想を持ったのか、ネットで検索してみると「モニター端末が届いた。起動してみたけどきれいに映っていい感じ」とワンセグの10倍の高画質を評価する声があるいっぽうで「対応機種が2機種だけとか"オワコン"といわれても仕方ない」また「無料なら見るかも、だけど月数百円払う価値はないかな」など対応機種や番組内容への不満も見て取れた。そんなNOTTVを専門家はどう評価しているのだろうか?放送やITに詳しいジャーナリストの本田雅一氏は「シフトタイムコンテンツの視聴というのが他の放送にはないNOTTVならではの特徴。番組を放送し、蓄積しておいて好きな時間に自由に見る事ができるこのサービスをもっと増やす必要がある」と語った。

この取材から見えてきたNOTTVの課題をまとめると…㈰「対応機種が2つしかない」㈪「月額料金に見合う番組がない」㈫「ソーシャルメディアが充分活用されていない」㈬「シフトタイム視聴(蓄積型放送)への対応」の4点。これらの課題をどう認識しクリアしようとしているのか1つずつ小牧氏に回答してもらった。まず1つめ「対応機種が2つしかない」という声に対して小牧氏は「どんなメディアもスタート時は"1"から始まる。例えばワンセグのスタート時は対応機種は2つからスタートしたので心配ない」また今後の機種展開について「9月までに5機種が追加されることになる」と回答。機種のラインナップに問題はないことを強調した。続いて「月額料金に見合う番組がない」という意見については有料放送に長く関わってきた中の経験則として「"有料番組の中に見たい物がない"という人には"見たいものがない"ことになってしまう。ただわずか数分間視聴して"見たいものがない"と判断するのではなく、ある程度の時間をかけて"見たい番組や肌に合う番組を見つける"ことをしてほしい」と語った。さらに今後の番組ラインナップについて「フジテレビと合同でドラマを撮影中なので放送開始を心待ちにしてほしいし、大きなスポーツイベントのコンテンツも準備を考えている」と語った。そして3つめの「ソーシャルメディアが十分活用されていない」という意見に対して小牧氏は「確かに十分な活用ができていない」「私自身もこの状態をとても不満に思っている」とした上で、現時点での成功例として「AKB48のあんた、誰?」という番組で実際に起きているソーシャルメディア上で6000人の視聴者が番組企画を考え、投稿する事例を挙げた。それに対しスタジオコメンテーターの法政大学・稲増龍夫教授は「スマートフォンの中に最初からソーシャルメディアが組み込まれているという事実が、視聴者の手軽な番組への参加を促している」と分析。小牧氏も「スマートフォンやタブレットという手軽で万能な機器の中に放送が取り込まれているというのが現状の認識なのかもしれない」と語った。そして4つめの「シフトタイム視聴(蓄積型放送)への対応」に関しては「世界で初めての試みのため、未だ技術的な課題がクリアできていない部分があり、現状では蓄積型の番組数が少ない」と語った。しかし今後の展開として「災害時などに映像や音声だけではなく文字情報を配信してスマホ内に蓄積し、必要に応じてみてもらうということも考えている」と語った。

また小牧氏は「現在のNOTTVの番組はまだ"テレビ的"すぎるので、新しい番組の形を模索していかなければならない」「そのために番組制作者はスマートフォンという新しいメディアを活かした番組づくりを考えてほしいし、テレビの枠から飛び出してきてほしい」と語った。


■ゲスト
小牧 次郎(こまき じろう)
■プロフィール
1983年フジテレビ入社 営業、編成、映画、ペイTVセクションなどを経て1997年より(株)ジェイ・スカイ・ビー出向
2001年より(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズ出向
「スカパー!」「フジテレビCS放送」の立ち上げに携わる
2010年12月より(株)mmbi常務取締役 「NOTTV」番組編成責任者に。

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