新・週刊フジテレビ批評

1 Week TOPIC

”関東被災地”茨城県の震災報道

DATE : 2011.05.21(土)

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3月11日の東日本大震災の発生以来、テレビは連日岩手・宮城・福島の東北3県を中心に最新情報を伝え続けた。そして福島第一原発の被害が明らかになるにつれ、報道は"原発問題"へと移り変わる展開に。そんな中、関東エリアで被災した人々からある意見が寄せられている。それは「テレビからは関東被災地に関する情報が出てこない」という声。そこで今回は関東エリアの被災地の中から茨城県を取材。すると"全国でも茨城県だけ"という特殊な状況が見えてきた。
茨城県ひたちなか市の那珂湊地区。地震の後、4mをこえる津波によって多くの家屋が床上浸水などの被害を受けた街。この那珂湊地区でまずは震災当時の状況を聞くと「津波が来て道路に止まっていた車はみんな流された(50代・男性)」「電気も水道も使えなかった。津波も怖いので避難所に避難していた(60代・女性)」とのことだった。幸いにも津波による死者は出なかったが家屋が浸水し、ライフラインも使えない状態の中で那珂湊の被災者たちはどうやって情報を得ていたのだろうか?街で聞いてみると…「避難先の小学校で配られた新聞。あとはラジオを聞いていた(50代・男性)」「新聞を読んだ。茨城版があるから詳しいことがわかる(60代・男性)」などの声が中心だった。中には電気が使えるようになってからテレビを情報源としていた人もいたが…「NHKばかりみていた。津波の状況や警報が素早く出てくるから(50代・男性)」という声や
「NHKでは地域ごとの復旧状況などの詳細をテロップ(字幕)が出ていたのでありがたかった」など震災後"NHKを視聴した人"が多数を占めていたのだ。そこには"ある事情"が存在するという。
番組コメンテーターで地方テレビの実状に詳しい上智大学・音好宏教授によると「残念なことに茨城県には、茨城県を対象とした県単位の独立UHF局などが存在しないため、民放テレビのサービスが少ない」のだという。例えば関東エリアの場合、在京民放テレビ局に加え、埼玉県には「テレビ埼玉」群馬県には「群馬テレビ」といった独立系の放送局があり、地域に根ざした情報を伝えている。ところが茨城県にはそういった独立局も民放の系列局も存在しないため、茨城県民にとって求められる"きめ細かい情報"伝わりにくい環境にあるのだ。
そんな状況の中で震災後の県民の頼りとなったのが地方紙「茨城新聞」。編集局の沼田次長によると「テレビでは茨城の状況がわからないため、茨城新聞では生活に関する詳細な情報を伝え続けた」「中でも生活関連情報・ライフライン情報は毎日欠かさず伝えた」と語った。茨城県の場合、テレビではカバーしきれない情報を新聞がフォローしていたという状況があったのかもしれない。また、こうした現状に対して上智大学・音教授は「本来、テレビは大きな視野と個々の事象を結びつけてつたえなければならないが、今回は個々の事情について目配りができていなかった」「コミュニティFMのような小回りがきき、誰に向けて情報を出すか明確に絞ったメディアが今回の震災では活躍を見せた」と分析した。
スタジオコメンテーターの法政大学教授・稲増龍夫氏は「民放キー局は関東の1都6県をフォローしなければならないが人口比率などを鑑みても、どうしても茨城県への比重は小さくなる傾向がある」「震災時などにはテレビだけでなく、さまざまなメディアが協力して情報を伝えることが必要ではないか」と語った。

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