新・週刊フジテレビ批評

クリティックトーク

今のテレビドラマが抱える問題点

DATE : 2010.10.30(土)

CATEGORIES : | Critique TALK |

TBSで「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」「高校教師」などのドラマを演出してきた鴨下氏は、今の連続ドラマでテレビ界全体で考えなければならない4つの問題点を挙げている。それは「"前回のあらすじ"がない」、「出演者の"年齢ギャップ"」、「"自閉的"キャスティング」、「"貧弱する"脚本」の4つ。

これについて鴨下氏は「"前回のあらすじ"がないと、途中から見た人がわからない。少し前はどこの局も全然やらず、今は少し良くなってやるようになったがヘタ。アメリカの『24』『ホワイトハウス』のような連続ドラマはすごくうまい。その違いは、"前回のあらすじ" の重要度の認識の違いにある。」と語った。

2つ目の「出演者の"年齢ギャップ"」について、「ホームドラマを例にするとわかるが、おじさん、おばさんが出てこない。昔は必ず親戚のおじさん、おばさんが出ていた。これは親に話しにくいこと、あるいは子どもに話しにくいことを話してくれる大事な接点だった。それが最近は出なくなった。経費削減で出さなくなったこともある。これは3つ目の"自閉的"キャスティングとも絡むが、今ドラマ全体が自閉的になっている。誰か主役の人をおいておけば、その他のキャスティングはなくても作れるみたいな作りがとても多い。

4つ目の『"貧弱すぎる"脚本』では、脚本だけでなくドラマ全体が他者と自分の意見が食い違って対立するという構図が描けない。ドラマは対立する構図がないと進行しない。今放送中のドラマは対立構造があるものだけ好調で、ないものは全滅している。非常にはっきりした状況。」と話した。
コメンテーターのメディアジャーナリスト・津田大介氏は、「今はドラマをDVDレコーダーで録って見ることが当たり前。とりあえず1回目は全部録画して流し見をして面白そうなものを次から見るという形になっている。消費のスタイルが変わり、ドラマの消費のされ方が変わっている。また、『続きは映画で』というドラマが多くなって残念だ。」と話した。

番組内で募集したアンケートでは、「連続ドラマは以前と比べてどうか?」という質問に対して、「おもしろい」と答えた人が20%、「おもしろくない」が51%、「変わらない」が24%、「その他」が5%だった。この結果について、鴨下氏は「原点に返って、対立がちゃんとあって、テーマがハッキリしているドラマらしいドラマを作らなければダメ。各局だけで考えず、ドラマを作っている人たち全員で考えないといけない。」と語った。

TBSの「調査情報」に「ツイッター猖獗時代のテレビの矜持」というタイトルのコラムを書いた鴨下氏は「ブログやツイッターには危険な側面がある。非常に『自己表白的』で、自分のことを発信したい、伝えたいと考え、自分と他人がどう違うかという観点にいかない。対立が深くならない。愚痴っぽくなるのが困る。」と語った。それに対して津田氏は「他人とどう違うかを確認できるところがツイッターにはある。ツイッターは共感できるメディアで、考えるきっかけを与えてくれるツールになっている。」と話した。鴨下氏は「津田さんは健康的なツイッターだが、ツイッターの中だけで満足してしまう人もたくさんいる。ツイッター的な気分が社会にあることをやっている人が認識していないし、さらに作り手がツイッター的な気分でドラマを作っていることが問題。」と語った。


ゲスト :
鴨下 信一
(かもした しんいち)

演出家、TBSテレビ相談役
東京大学文学部卒業後、東京放送(TBS)入社。主にドラマ畑を歩み、「岸辺のアルバム」や「想い出づくり」、「ふぞろいの林檎たち」、「高校教師」など多数のドラマを演出。その後、制作局長、常務取締役、TBSエンタテインメント会長などを歴任し、2003年から現職に。
主な著書に「誰も『戦後』を覚えていない」、「日本語の学校」など。

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