2015年10月27日

ユヴェントス対アタランタ

ミッドウィークのCLボルシアMG戦がスコアレスドローに終わったこと、その試合で今夏の補強の目玉商品だったディバラがまたもスタメンを外れたことで、この試合に向けたマスコミの論調は、4000万ユーロを投じて獲得したにもかかわらずディバラを活かせないアッレーグリ監督を批判するものだった。昨シーズンまで所属していたパレルモのザンパリーニ会長が「パウロのようなタレントは自由にプレーさせるべきだ。アッレーグリはディバラを壊そうとしている。もし使わないのなら移籍させた方がいい」とコメントしたことも、火に油を注いだ格好。

 批判を浴びたアッレーグリ監督は前日会見でこうコメントして苛立ちを隠さなかった。
「ディバラはFWの中で一番出場時間が長い。一部のマスコミが書いていることを読むと笑うしかない。パウロはまだ若い。去年パレルモで担ったような責任をここですぐに担わせるのは間違っている。4000万ユーロも払って獲得したことは、監督である私にとってはどうでもいいことだ。そういうことを言うと逆に本人を困難に追い込むことになる。マンチェスター・シティが8000万ユーロ支払ったデ・ブルイネだってあまり出場していないがイングランドでは何も言われない」

 そしてこの試合でスタメン出場したディバラは、前線を縦横無尽に駆け回って数多くのチャンスに絡み、1得点1アシスト、さらにPKをひとつゲットするという大活躍を見せた。試合後のインタビューでは次のようにコメントしている。
「半分だけ満足している。ゴールとアシストは良かったけれどミスも多過ぎたから。このポジションでプレーするのは簡単じゃない。パレルモでは1トップとして自由にプレーさせてもらって、ヴァスケスがいつもアシストしてくれた。でもここでは僕がチームメイトをアシストしなければならない。それがもっとうまくできるように毎日トレーニングしている。プレッシャー?大丈夫。いつもチームメイトと話をして、新聞はあまり読まないようにしてそういうプレッシャーを避けるようにしているし」

2015年10月13日

ナポリ好調の要因
 ナポリは、首位フィオレンティーナと並んでいま最も勢いのあるチームだ。立ち上がりこそややもたついたが、サッリ新監督がシステムを当初の4-3-1-2から4-3-3に変えた第4節以降、すべてが噛み合って4試合で11得点1失点という絶好調ぶりである。
 
 サッリ監督は昨季チームが不本意な成績に終わったことでややモティベーションを落としていたイグアインを「世界最高のセンターフォワード」と評価し、就任当初からチームの中心に据えて戦術を組み立てた。

コンパクトな陣形を高い位置まで押し上げてのハイプレスという守備戦術にも積極的な貢献を要求しながら、敵陣でのボール奪取がより多くのゴールにつながることを説得、イグアインもこれに応える形でこれまでにないほどアクティブにプレッシングに取り組んでいる。

ユヴェントス戦でヘルナネスの横パスをかっさらって独走し、そのままねじ込んだゴールは、今シーズンのこうしたプレースタイルの変化を象徴するもの。味方のプレッシングから生まれたこぼれ球を拾ってのゴール(ラツィオ戦、サンプドリア戦)も、ナポリのアグレッシブな守備戦術の賜物だ。

もちろん、持ち前の得点感覚を活かしたセンターフォワードらしいゴールも多い。インシーニェからのスルーパスに合わせて絶妙のタイミングで裏に抜け出してのゴール(サンプドリア戦)はその典型。

 インシーニェのゴールは、そのイグアインとの息の合ったコンビネーションから生まれたものが大半。4-3-3の左サイドで「逆足のウイング」としてプレーするインシーニェは、敵の右SBと右CBの「ゾーンの切れ目」でパスを受け、そこから前を向いてゴールに向かって斜めに仕掛けるプレーを最も得意としている。そこから前線のイグアインにスルーパスを送り込むこともあれば、イグアインに当ててワンツーのリターンを受けシュート、あるいは単独でドリブル突破をしかけてそのままシュートと、レパートリーは豊富。そのいずれの形からもゴールやアシストを成功させている。
 
 ナポリはハイプレスでボールを奪うと、前の3人だけでなく中盤からハムシク、アランも前線に走り込み、ワンタッチ、ツータッチでボールを素早く動かして一気にゴールに迫るシステマティックな攻撃の形を持っている。これによって前線のイグアイン、インシーニェにに数多くのボールを供給できていることが、彼らの好調にもつながっていると言える

2015年09月01日

バロテッリのミラン移籍

 イタリアのマスコミは、ミラン復帰を大きく報じながらも、懐疑的な見方を捨てていない。
移籍決定を報じた地元ミラノのスポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は「バロテッリが家に帰ってくる」という大見出しに

 <ミランではミハイロヴィッチがすでに釘を刺した。彼も「決して失望させない」と応える>

というリードをつけ、さらに「リヴァプールで窓際に置かれ、代理人はイタリアの複数のクラブに売り込んだが応えたのはミランだけだった」という内幕も伝えている。
 
 サポーターの見方もかなり悲観的。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』web版が移籍決定当日に行ったアンケートでは、3万人を超える回答者のうち73%が移籍に反対という意見だった。コメント欄には「年間チケットを買うつもりだったけれどバロテッリがいるなら止める」「ミランは何
のためにバロテッリを呼び戻すのか。もう一度ロッカールームをバラバラにするためか?」「リヴァプールは大儲け、ミランは大損」といった書き込みも。
一方、「ミハイロヴィッチが保証するなら信じてもいいだろう」「これが本当に最後のチャンスだから心を入れ替えるはず」といったポジティブな意見も少数派ながらあった。

2015年08月25日

セリエA 2015-16第1節
 週末に開幕したセリエA2015-16シーズンは、初戦から波乱続きの幕開けとなった。5連覇を目指す王者ユヴェントス、大型補強で復活を狙うミラン、そしてサッリ新監督の下で再出発を図ったナポリが思わぬ黒星。優勝候補の一角を占めるローマも引き分けに終わり、欧州カップ出場権をノルマとする7強のうち、狙い通りの白星スタートを切ったのはインテル、ラツィオ、フィオレンティーナの3チームのみにとどまった。

 日本の本田圭祐(ミラン)は4-3-1-2のトップ下で先発出場したものの、前半36分にCBエリーが退場となった影響で、その穴埋めにサパタを途中出場させるため交代でベンチに下がった。本人のパフォーマンスとは関係のないチーム事情による止むを得ない交代だけに、本田にとっては残念な結末だった。

 長友祐都(インテル)は、ベンチ入りしたものの出場機会はなし。右SBにはサントン、左SBには昨シーズン同様、本来CBのファン・ジェススが起用されている。

 マンチーニ監督はサイドバックに対して、攻撃力だけでなく守備の安定感、そして空中戦やフィジカルコンタクトに強い体格の大きさを求める傾向があり、それが長友が指揮官の構想から外れて移籍の可能性を残している理由のひとつと見られる。

 その移籍だが、8月31日の移籍期限まで残り1週間となった現時点で、長友の去就は未確定。7月にガラタサライ移籍が噂に上った後、現在はサンプドリア、ジェノアが獲得に興味を示しており、土壇場で動く可能性も残されている。


 マンチーニ監督はかねてからクラブに対して、上に挙げた要件を満たす左サイドバックの補強を求めており、ファビオ・コエントラン(R.マドリー)、シケイラ(A.マドリー)、グラン(ナポリ)などが候補に挙がっている。もし補強が実現した場合には、サントン、ダンブロージオ、長友という3人のSB(いずれも左右両サイドでプレーできる右利き)のうち1人が入れ替わりに放出される可能性が高い。

2015年08月18日

セリエA開幕に向けて
 8月22日現地時間18時キックオフのヴェローナ対ローマで開幕するセリエA2014-15シーズン。
 ピルロ、テヴェス、ヴィダルという主力3人が去ってひとつのサイクルが完結した王者ユヴェントスが、戦術面まで含めたチームの再構築を迫られているのに対し、ライバルのローマ、インテル、ミランが積極的な補強に乗り出して戦力を底上げしたことで、今シーズンは久々の混戦模様となることも期待されている。
 本命が戦力、経験値ともライバルを上回るユヴェントス、対抗がボスニア代表ゼコ、エジプト代表サラーら強力な攻撃陣を補強したローマという構図は昨シーズンと変わらない。注目したいのはむしろ、ここ数年の低迷から脱却してかつての栄光を取り戻すべく、緊縮財政から一転して移籍市場に大金を投じたインテル、ミランのミラノ勢だ。
 
 インテルは、最終ラインをほぼ一新しただけでなく、中盤にフランス代表コンドグビア、前線にモンテネグロ代表ヨヴェティッチを獲得するなど、昨冬の大型補強を実質白紙に戻すほどの勢いでチームの大刷新を図った。
 しかしここまでのプレシーズンは、8月15日までの7試合で1勝6敗、得点わずか2という期待を裏切る結果。内容的にも攻撃の形がまったく見えておらず、マスコミやサポーターからは「マンチーニは何をしたいのかわからない」といった疑問や不安の声が高まりつつある。
 この状況に対して指揮官は、左ウイングのペリシッチ(ウォルフスブルク)をはじめさらなる補強をクラブに要求しており、最終的にレギュラー陣の顔ぶれは全面刷新されそう。ここまでやって結果が出なければ、指揮官に弁解の余地は一切与えられないだろう。開幕戦の相手はアタランタ。まずはしっかり勝ち点3を手に入れて波に乗れるかどうか。
 
 一方のミランは、ベルルスコーニ会長がタイ人実業家ビー・テチャウボンに株式の48%を譲渡することを決め、新スタジアム建設計画も具体化の段階に進みつつあるなど、クラブ経営レベルで大きな変化の渦中にある。チームレベルでも、新監督にミハイロヴィッチを迎え、前線にコロンビア代表バッカ、ブラジル人FWルイス・アドリアーノ、中盤にイタリア代表ベルトラッチ、そして最終ラインにイタリアU-21代表ロマニョーリを獲得するなど、総額8300万ユーロを移籍市場に投じて補強に動いた。他クラブとの契約を満了したベテランを移籍金ゼロで獲得するばかりだった近年の緊縮ぶりとは対照的な大盤振る舞いだ。
 プレシーズンの戦いぶりは、インテルと比べればチームとして明確なまとまりを持っているが、最終ラインの脆弱性、組織的な攻撃メカニズムの欠如というここ数年引きずってきた課題は、まだ解決したとは言えない。開幕戦はアウェーのフィオレンティーナ戦。同じように新監督(パウロ・ソウザ)を迎えてチームを刷新したヴィオラとの戦いは、開幕戦屈指の好カードだ。
 
 今シーズンのセリエAは、早くも第3節(9月13日)にミラノダービーが組まれている。昨シーズンはやや華やかさに欠けるダービーだったが、今回は両チームの大幅刷新もあって見どころは満載。それぞれがどのようにダービーを迎えることになるのか、ここからの歩みが注目される。


2015年04月14日

パルマ、破産決定後に復調という皮肉
 4月11日に首位を独走するユヴェントスを破って大きな話題になったパルマは、前オーナーによる乱脈経営が原因で2億ユーロを超える負債を抱え、3月19日に裁判所から破産宣告を受けている。

 裁判所が任命した2人の管財人(パルマ税理士協会の幹部)に加え、元イタリアサッカー協会副会長のデメトリオ・アルベルティーニが管財人補佐に指名され、協会やリーグとの調整役を務めている。
 2月後半から3月初めにかけて、クラブの財政が最も困難に陥っていた時期には、ホームゲームの開催や遠征の費用にも事欠く状態だったが、破産の確定に伴って、レーガ・セリエAがシーズン終了までの運営費用約500万ユーロを拠出することが決まり(財源は各クラブが支払った罰金)、リーグへの参加資格喪失で残り試合がすべてキャンセル(0-3の不戦敗)になるという最悪の事態だけは回避された。

 しかし、来シーズン以降もクラブが存続できるかどうかは、現時点ではまったく未確定。クラブを来シーズンのセリエB(降格は事実上確定している)に登録するためには、破産したクラブを裁判所の競売で落札した上で、7000万ユーロ以上に上る滞納人件費を全額精算して再建に取り組んでくれる新オーナーが現れる必要がある。これはかなり非現実的な話であり、実際にはシーズン終了後、クラブがこのまま破産・消滅して、アマチュアリーグからの再出発を強いられる可能性はきわめて高い。

 皮肉なのは、クラブの破産が確定すると同時に、チームのパフォーマンスが見違えるように上向いたこと。4月に入ってからの3試合、インテルと引き分け、ウディネーゼ、ユヴェントスを連覇するという、これまでの不振が信じられないような好調ぶりを見せている。
 ドナドーニ監督以下、パルマの選手とスタッフは、今シーズンの始動以来、給料を1ユーロも受け取らないまま、クラブが今後どうなるかも知らされず、「次の支払い期限には払う」という空約束に期待をかけては裏切られるという、精神的にきわめて困難な状況の中で戦い続けてきた。それがピッチ上のプレーに大きな影響を及ぼしていたことは容易に想像がつく。
 逆説的な話だが、3月19日の破産宣告は、こうした不透明かつ不安定な状況に決着をつけ、すべての問題をクリアにすることで、チームにある種の落ち着きと開き直りをもたらしたのかもしれない。

 ユヴェントス戦翌日のスポーツ紙は「本当の男たち/パルマの栄誉を讃えよ」(ガゼッタ・デッロ・スポルト)、「パルマはスクデットに値する」(コリエーレ・デッロ・スポルト)という大仰な見出しでパルマに賛辞を贈った。
 イタリアのスポーツニュース専門チャンネル「SkySport24」は、破産後のパルマの日常を追ったミニドキュメンタリーを毎日放映している。ユヴェントス戦翌日の12日は、チームが市内の公園でサポーターに囲まれ、リラックスした雰囲気の中で軽い回復トレーニングを行う場面が放映された。その中では多くのサポーターが「来シーズンもしセリエD(4部リーグ=アマチュア)に落ちてもチームを追い続ける」とコメントしている。
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