第3章 神湊 7
宇佐神宮のある宇佐市は、大分県の北部にある人口5万人強の小さな都市である。どちらかと言うと開発から取り残されている地方都市という感じだが、神代の昔より筑紫の兎狭(うさ)の国の中心であった所で、畿内や出雲と同様に早くから開けていた地である。そんな宇佐には、全国の八幡宮の総本山で古代より伊勢神宮に次ぐ天皇家の宗廟(そうびょう)である宇佐神宮が鎮座している。
宇佐神宮は725年に聖武天皇によって創建された神社である。八幡神として応神天皇を祀っている。孝謙天皇に気に入られた僧・道鏡が皇位に就こうとした時に、和気清麻呂(わけのきよまろ)が勅使として来て、宇佐神宮の御神意を聞いて道鏡を廃したのは有名な史実だ。宇佐神宮は現代でも天皇家から勅使が派遣される由緒正しい神社なのだ。
真玉町の石博士・成松欽也は、その宇佐神宮の社務所の前に来ていた。そして何種類かある宇佐神宮のお守りのうち、みどりが所持していたものと同じものを手に取った。
「これを下さい」
「はい、800円になります」
売り子のおばちゃんは、成松に言った。成松は代金を渡してお守りを受け取ると、殺された姪の粟島みどりの写真を見せて尋ねた。
「この女性を最近見かけんじゃったかのう?」
「どれどれ」
おばちゃんは写真を手に取って顔に近づけた。
「おー、なんか見たことあるごたるのう…あっ、もしかして奥宮の娘かのう? 奥宮にはどげえして行けば良いか聞かれたのは、その娘じゃったかのう」
どうやら粟島みどりを目撃したようだ。成松はすかさず続けて聞いた。
「奥宮って?」
「宇佐神宮からちょっと離れた御許山(おもとやま)の山中にある大元神社(おおもとじんじゃ)のことじゃ。二之御殿にお祀りしている比売大神(ひめのおおかみ)が御降臨された地に建てられた神社じゃ」
「へえ、そげな神社があるとは知らんかった!」
成松は大元神社というのがあるのを初めて聞いて驚いた。大分県民でもその存在を知っている人は少ないのだから無理もない。
「ところで、これと同じお守りを買ったかのう?」
成松は今購入したお守りを見せながらおばちゃんに尋ねた。
「ああ、そうじゃ。確か私が売ったごたる」
粟島みどりは宇佐神宮のお守りを購入していたのを成松は確認した。
「それで、誰かと一緒じゃったかのう?」
「いやあ、1人じゃったかのう。でもいたかのう。ちょうど団体客がいっぱいおって忙しかったんで、よう覚えちょらんわ」
そう言うとおばちゃんは沈黙した。
「みどりのことを思い出してくれてありがとう。最後にもう1つ頼みがあるのじゃが、わしにも奥宮への行き方を教えちょくれ」
「ああ。でも奥宮に行くのは大変じゃけん、気をつけてな」
おばちゃんは紙に地図を書いて、成松に御許山の大元神社への行き方の詳細を教えた。





それだけファンが増えたのでしょうか。
邪馬台国が何処なのか興味しんしんです。
トム | 2010年01月20日(水) 23:05
何か良いことあったのでしょうか?
還暦 | 2010年01月19日(火) 21:59
全国八幡神社の総本社。
関東で有名な鎌倉八幡宮も石清水八幡宮から勧請、石清水八幡宮(八幡太郎義家の名称もここから)は、この宇佐神宮から勧請された。
南無八幡大菩薩!!・・菩薩様でもある。
推理作家の高木彬光は宇佐が邪馬台国で卑弥呼の墓は宇佐神宮の下=小倉山と主張しているとかで、
今でも夏越大祭でミス夏越=ミス卑弥呼が選ばれているとか。
まさか?!粟島みどりはミス卑弥呼だった???
高木彬光も末廬国は宗像市神湊と推理している由。
是空 | 2010年01月19日(火) 18:22
清水淳司 | 2010年01月19日(火) 17:45
宇佐神宮の本も買ってこなければなりませんね。
久美 | 2010年01月18日(月) 20:49
トコロテン | 2010年01月17日(日) 02:18
御許山=大元神社=奥宮、ここが本来の地主神
そうか!御許山山頂=禁則地、ここも石が立っているとかで比売大神降臨地と言い伝えられている。
なんとか姫ではなく、比売大神=ヒメオオカミ 当時なら誰でも知っている姫神・・・誰??
宇佐神宮の二之御殿=第二神といいながら中央に!
宇佐神宮の歴史も紐解いてくれるのかな???
是空 | 2010年01月16日(土) 10:58
思っていた展開がおおきく変わったときは、逆に期待が持てるものだということを知った。
還暦 | 2010年01月15日(金) 19:21